メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

09月19日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

勤務医の過重労働、改善急務 岸玲子

写真: 拡大

写真: 拡大

写真: <イラスト・佐藤博美> 拡大 <イラスト・佐藤博美>

●北大名誉教授・環境健康科学特別招聘教授 岸玲子

 医師、特に病院勤務医の過酷な働き方が、注目を集めている。

 今年3月に策定された政府の「働き方改革(労働基準法改正)」の実行計画では、労働者と使用者側が合意した場合、時間外労働は年720時間(月平均60時間)を上限とすることなどが盛り込まれたが、例外として月に100時間まで認めている。

 過労死を起こしかねない長時間労働を是認し固定化してしまうと、労働者の命や健康を守れない、という懸念も根強い。一方、長時間労働が常態化している医師、及び運輸・建設業への適用は5年間猶予され、今後2年をめどに対応を議論することになった。

 日本の労働基準法では、労働者の法定労働時間は週40時間である。厚生労働省の労災認定の目安として、残業が週20時間=月80時間を超えると、過労死認定基準に達するとみなされる。

 しかし、勤務医の世界では過労死水準の労働がなかば当然のこととみなされてきた。例えば、20代、30代の多くの勤務医は週平均60時間を超える労働で、さらに月に数回夜間の当直業務をこなした後、翌日も通常勤務をするので、過重労働による極度の疲労や自殺が大きな問題になっている。

 都内の総合病院に勤めていた産婦人科の男性研修医の自殺が、労働基準監督署に過労と労災認定されたケースでは、時間外労働は亡くなる前の1カ月で173時間20分にも及んでいたと報道されている。勤務医の仕事は重症の患者を診ることも多く、精神的に強い緊張を伴う業務であることを考慮すれば、改善を急がねばならない。

 医師の長時間労働は、健康への悪影響はもとより、業務遂行能力の低下や医療事故の原因にもなる。処方ミス、診断ミスなどの誘因となることが多くの研究で示されている。特に急性期医療の病院の医師は24時間救急対応をし、先進医療を担っている。

 我が国で良質で安全な医療を確保するためには、根本的な解決が望まれる。例えば、急性期医療の病院については診療報酬体系を是正するなど、本来あるべき医療供給体制を含めて、勤務医の過重労働問題を考えていく必要があるのではないだろうか。

 医師も人間である。労働時間と休息時間以外の文化的な生活時間、家族や地域の絆など、いわゆるワーク・ライフ・バランスを確保する必要性を考えれば、日本の医師数は足りているのであろうか?

PR情報

ここから広告です

PR注目情報

北海道報道センターから

北海道アサヒ・コムへようこそ。
身のまわりの出来事やニュース、情報などをメールでお寄せ下さい(添付ファイルはご遠慮下さい)
メールはこちらから

朝日新聞 北海道報道センター 公式ツイッター

注目コンテンツ