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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

食物アレルギー、早期対応を 高橋豊

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

 ●KKR札幌医療センター・小児科特任部長 高橋豊

 11月に宇都宮市で開かれた日本小児アレルギー学会に今年も出席してきた。宇都宮はギョーザが有名で、店が至る所にあり、おいしく頂いてきた。当院からは、食物アレルギーと乳児アトピー性皮膚炎に関する2演題を発表した。

 食物アレルギーはつまるところ「早い時期に食べたらならない」「なっても食べたら治る」ということなのだが、それをいかに安全に進めていくかが今後の課題と言える――と、昨年の学会参加後、このコラムに書いた。今学会中、「急速経口免疫療法」を実施し、退院後に牛乳を摂取して重いアレルギー症状の「アナフィラキシーショック」に陥り、蘇生したものの重い後遺症を残した神奈川での事故の報道発表があった。

 この治療法は私たちの施設でも実施してきた。だが、対象が重症の患者さんで、症状が出ても対処しながら短期間に急速に摂取量を増やす治療法だ。退院後も何らかの症状を伴うことが多いのでリスクが高く、標準治療とは認められていない。私たちは、春の段階でこの事故の情報を得たので、新たな症例への実施は一時中止していた。

 学会による全国の施設が対象の「食物によるアナフィラキシーに関する緊急アンケート調査」では、呼吸補助やICU(集中治療室)管理を必要とした報告は18例あり、9例が負荷試験や免疫療法に関連し、8例が誤食によるものだった(1例は不明)。後遺症を残した例は報道例を含めて3例あるが、他の2例は誤食が原因だった。

 私たちの施設では、食物アレルギーの患者さんには経口負荷試験を実施後、症状が出ない量から摂取を始め、十分注意しながら少しずつ増やしていく食事指導をしている。

 事故報道の後、少なからぬ保護者の方から「うちの子は大丈夫ですか」と質問を受けた。心配は無理からぬことなので、事故の治療とは異なる旨を丁寧に説明し、「とにかく安全第一で食べさせていきましょう」とお話ししている。今回の事故報道で、過度に恐れて食べさせないという風潮がまた強まるのではないか、と懸念している。

 年長児になってリスクの高い治療を選ばざるを得ないような重症食物アレルギーを残さないように、乳幼児期の早い段階から対応していく必要がある。また重症食物アレルギーを持つ年長児は、完全除去を続ければ治る可能性は少ないので、より安全な治療計画での経口免疫療法を模索していく必要がある。

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