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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

時代映すナースキャップの歴史 大日向輝美

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

●札幌医大保健医療学部長 大日向輝美

 出張先の地方ニュースで、地元の看護学校の戴帽(たいぼう)式が報道されていた。

 戴帽式とは、初めての臨床実習に臨む看護学生が、文字通り帽子(ナースキャップ)を戴(いただ)く儀式のことだ。

 ナースキャップが医療現場から消えつつある昨今、昔ながらの戴帽式が実施されていることに、正直驚いた。

 最近はナースキャップを着けた看護師をあまり見なくなっているのを、皆さんも気づいておられるだろう。

 ナースキャップの原形は修道女のベール。戴帽式は、神への献身を誓う入信式を模している。近代的な看護教育とともに明治期に我が国に導入され、看護師としての責任と自覚を表す象徴として扱われてきた。他の職種と看護師とを区別する役割もあった。以後ナースキャップは形を変えながら、長年看護師の頭部を飾ってきた。

 しかし欧米では1980年代以降、ほとんどの医療機関で着用されなくなった。我が国で廃止の動きが活発化したのは90年代で、賛否両論かまびすしい議論が展開された。ナースキャップに込められた精神性を重視する根強い意見の一方で、医療現場からは徐々に姿を消してきた。

 なぜ看護師はナースキャップを着けなくなったのか。

 まず衛生面。ナースキャップは毎日洗い替えるものではなく、どうしても不潔になりやすい。また、独特の形を保つには強力なのり付けが必要で、そののりの成分が院内感染を引き起こす緑膿(りょくのう)菌など細菌繁殖の原因となっていた。

 次に機能面と安全面。作業中に点滴の管や医療機器のコードに引っかかるなど動作の支障となる上に、キャップがずれたり外れたりすると、かぶり直しの手間がかかる。点滴スタンドを倒すなど、医療事故につながる危険性を指摘する声も大きくなった。

 そして男性看護師の増加。伝統的にナースキャップは女性看護師の象徴で、男性には義務づけられていなかった。男性看護師が増えるにつれて、女性にのみ着用が求められるナースキャップは差別的であるとの認識が広がった。

 看護学を基盤とする専門性の発展により、精神性を強調するナースキャップは専門職として不適切と捉える人が増えたことも影響している。

 かつては看護師の象徴だったナースキャップだが、今の若者にとっては違和感を覚える代物かもしれない。ナースキャップを着けた看護師の姿を目にしなくなる時代が、まもなく来るだろう。

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