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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

有機フッ素化合物の危険性 岸玲子

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

 ●北大名誉教授・環境健康科学特別招聘教授 岸玲子

 今から約20年前、日本の大手メーカーの安全評価部門から、有機フッ素系化合物の「PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)」と「PFOA(ペルフルオロオクタン酸)」の毒性について、相談を受けた。私が有機フッ素系化学物質と付き合い始めた端緒であった。

 この二つは界面活性剤で、化学的に極めて安定し、水や油をはじく性質がある。そこで塗料やインクに加えられ、また難燃剤として消火剤に含まれ、防水の目的で繊維加工やフライパンの焦げ付きを防止するなど、多くの家庭製品に使われている。

 デュポンなど世界的な化学製品メーカーが1950年代から生産を始めた。米国3M社では、スコッチガードという名の防水スプレーを始め、数多くの製品を生産販売していた。しかし70年代には水や土壌汚染が指摘されるようになり、99年には3M社が、自社の工場労働者の血液にPFOSが高濃度で含まれていることがわかったと公表。2002年までには米国での生産を中止すると発表した。

 当時はまだ十分な疫学データは出ていなかったが、動物実験からPFOS、PFOAの濃度が高ければ、脂質代謝異常や発達障害など様々な影響が出ていることがうかがえた。日本のメーカーも継続して使うべきかどうかを迷った時期であった。

 その後、私たちもこの物質の健康影響を積極的に調べることに取り組んだ。「環境と子どもの健康に関する北海道スタディ」で、母と生まれた子の臍帯血(さいたいけつ)の濃度を比べると、いずれも胎児に直線的に移行することがわかった。その後、子の出生体重や体格への影響、アレルギーや感染症のかかりやすさなど免疫機能への影響、子の神経発達の遅れ、あるいは甲状腺機能や生殖系ホルモンへの影響などを、これまで指摘してきた。

 問題は、札幌や北海道が高濃度の汚染地域でないのに、種々の次世代への影響が見いだされることである。

 世界的にも05年にPFOSは農薬のDDTやPCBやダイオキシン類と同じく、ストックホルム条約で製造が禁止された。PFOAはまだ正式な規制対象には含まれていないが、産業界は自主的に排出量を低減してきている。

 しかし日本や台湾、韓国、中国などアジア地域では、代替物質として類似した物質の製造を続けており、これらも毒性がある。何とか毒性が低いものに転換するよう、発信を続けていくつもりである。

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