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土曜「聞く・語る」【ひと模様】

若菜勇さん(6)市民協働での保護へ

写真: 拡大

写真:まりも祭りで毎年開かれるチュウルイ湾での観察会。生育地を体験できる貴重な機会だ=2003年10月 拡大まりも祭りで毎年開かれるチュウルイ湾での観察会。生育地を体験できる貴重な機会だ=2003年10月

 ■マリモ博士・若菜勇さん

 「いよいよ来たか」――。昨年1月、国立公園を訪れる訪日外国人の倍増を目指す環境省の「満喫プロジェクト」を報じたニュースで、マリモの生育地ツアーが事業の目玉になっているのを知りました。全国で文化財の観光資源化が進んでいたので、いずれマリモも取り上げられると踏んでいたのです。

 マリモ生育地への立ち入りは半世紀以上、調査研究を除いて原則禁止されてきました。例外は地元の小中学生の学習会など数えるほど。マリモ保護のあり方が大きく変わろうとしているのを感じました。

 ■脱・専門家頼み

 《保護の先頭に立つ側としてマリモツアーの解禁に違和感はないですか》

 ありませんでした。「立ち入り禁止」は、マリモの生態がほとんど分かっていない時代に実行できる数少ない保護対策でした。しかし、この間も阿寒湖の自然環境は人為的に大きく改変され、放っておくとマリモの生育状況は悪化するだけです。環境修復には多くの手助けが必要なのです。

 マリモの基礎研究だけでも30年近くかかりました。環境修復はさらに息の長い取り組みになるでしょう。専門家だけに頼っていてはいつか限界がくる。2012年に策定した「マリモ保護管理計画」で、市民協働による持続的な展開を目標の一つに掲げました。

 ツアーというと観光利用だけを思い浮かべがちですが、保護・研究活動に多くの市民が参加できるようにしたい。その仕組み作りが「満喫プロ」で可能になると期待しています。

 《具体的なマリモツアーに対する考えはどのようなものですか》

 想定されているツアーは「陸路」「水路と陸路」「水路」の3案です。「陸路」「水路と陸路」は有料で湖岸から生育地を観察します。マリモには触れられませんが、どうすれば参加者の満足感が得られるか、皆で知恵を絞っています。

 「水路」は船で生育地に入り、マリモに悪影響を及ぼす水草の刈り取りをします。ボランティアによる保護活動として他の二つとは異なります。しかし阿寒湖でしか体験できない活動は外国人にも満足してもらえるでしょうし、マリモの国際的な知名度アップにもつながると思います。

 ■世界へ架け橋

 《マリモの活用は国内だけにとどまりません》

 昨年12月に始まった台湾のマリモ展は3月4日まで再々延長となりました。展示されているのは阿寒湖の子供たちが育てたマイマリモです。再生技術の開発が、海外でのマリモ展示に結びつくなど想像もしていませんでした。

 またアイスランドのミーヴァトン湖では、マイマリモの技術を使って消滅した球状マリモを再生させる試みが始まっています。マリモが架け橋となる国際交流は、今後さらに可能性を広げていくように思います。

 マリモの保護を目指した研究は、阿寒の自然環境や生物多様性の見方も一変させようとしています。そしてもう一つ、新しい可能性を生み出しました。世界自然遺産登録という壮大な目標です。

 (聞き手・見崎浩一)

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