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水曜「働く・暮らす」【現場一話】

札幌市円山動物園の新構想

写真:オープン初日のホッキョクグマ館。水中トンネルは、ホッキョクグマを撮影する来館者で渋滞した 拡大オープン初日のホッキョクグマ館。水中トンネルは、ホッキョクグマを撮影する来館者で渋滞した

写真:動物専門員の吉田翔悟さん。飼育員の仕事のほか、事業の企画や運営などにも携わる=いずれも札幌市円山動物園 拡大動物専門員の吉田翔悟さん。飼育員の仕事のほか、事業の企画や運営などにも携わる=いずれも札幌市円山動物園

 ■動物の暮らしやすさを重視

 札幌市円山動物園で13日、新施設「ホッキョクグマ館」がオープンした。従来の5倍の広さがある「新居」は、ホッキョクグマの飼育施設としては全国最大級。プールの真下にある水中トンネルからは、自由自在に泳ぎ回るホッキョクグマの姿が楽しめ、来館者の歓声が上がっていた。

 床に土や芝を敷き、自然界で捕食関係にあるアザラシを透明な板を隔てて展示するなど自然の姿に近づけた。海外から個体を導入して繁殖できるよう放飼場や産室、寝室などを国際基準で整備。繁殖拠点としても期待されている。

 今後の運営指針となる新しい基本構想が今年秋に策定されるのに合わせ、「開園以来の大改革」が進行中だ。重視するのは、見て楽しむだけでなく、動物の暮らしやすい環境づくりや、「生物多様性の保全」「環境教育」といった視点だ。加藤修園長は「動物が暮らす環境を大事にし、元気な姿から来場者に何かを学んでもらいたい」と言う。

 年末の3日しかなかった休園日を2016年度から年35日に増やし、動物の体調管理や施設の安全点検を拡充。動物の生態や飼育知識を持つだけでなく、園のイベントや企画に携わる「動物専門員」を今年度から10人採用した。

 画像認識などのAI(人工知能)を生かし、飼育員のいない時間帯でも動物の細かな体調変化や異常事態を把握しやすい飼育方法の研究も北海道大などと進めている。

    *

 道内初、全国10番目の動物園として1951年に開園した「老舗」だが、04、05年度には入園者数が50万人を割り込み、職員の不祥事も相次いだ。動物本来の生き生きとした姿を見せる手法で話題を集めた旭山動物園(旭川市)で、入園者が年間300万人超とピークを記録した時期とほぼ重なる。

 「年間入園者数100万人」などを掲げ、円山動物園の今の基本構想ができたのは07年のこと。入園者数は目標に迫る98万人を超えたが、そこで、あの事故が起きた。

 15年7月、絶滅危惧種のマレーグマのメスが同居していたオスに襲われ死に、その動画がインターネットで流れ、批判にさらされた。他の動物の死も相次いだ。市動物管理センターから動物愛護法に基づく「改善勧告」を受け、大きな岐路に立たされた同園は、今回、基本構想をゼロベースで策定することにした。

 今秋にはゾウ舎を新設する。ミャンマーからアジアゾウ4頭を導入し、東北以北で初の繁殖を目指す。国際的な野生動物の取引が厳しくなる中、単独での生き残りではなく、国内外の動物園との連携や共存の道を探る。加藤園長はこう語る。「何のために我々は動物園をやっていくのか、が問われている」

 (戸谷明裕)

 ■円山動物園の新しい基本構想の主なテーマ

 ・動物が暮らしやすい環境づくり

 ・生物多様性の保全

 ・調査研究機能を強化

 ・環境教育の推進

 《現基本構想 2007年策定》

 ・札幌市の環境教育の拠点、北海道の生物多様性確保の基地

 ・入園者年間100万人を目指す

 ・05年度に比べ収入を倍増、支出3割削減を目指す

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