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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

学校検尿、腎疾患早く発見 高橋豊

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

 ●KKR札幌医療センター・小児科特任部長 高橋豊

 新学期が始まって少し経ったこの時期、私たちのもとを訪れる生徒たちがいる。学校の検尿で異常が見つかり、精密検査を勧められたのだ。

 小中学校、高校で行われる我が国の学校検尿は1974年から始まり、40年を超える歴史をもつ世界でも珍しい「スクリーニング」システムだ。腎疾患がある子どもをまだ症状がない段階で見つけて治療を開始し、将来、腎不全になるのを阻止する上で大きな役割を果たしている。

 小児慢性腎臓病は、病気が進行して腎機能が大きく低下するまで症状が出ることはまれで、学校検尿を契機に診断されることがほとんどだ。地域によって異なるが、学校での尿検査で2回とも異常となった場合に、医療機関での精査を勧める方式が多い。

 札幌市では「血尿かたんぱく尿の程度が強い生徒」「血尿・たんぱく尿が両方ある生徒」には尿・血液検査に加え、超音波検査や腎臓の組織を採って調べる「腎生検」も含めた精査が可能な総合病院を受診するよう勧めている。

 小児慢性腎臓病の中で重要とされる病気は二つある。そのうち「先天性腎尿路奇形」は、残念ながら現在の学校検尿での早期発見は困難だ。

 もう一つの「慢性糸球体腎炎」に関して、最も多いIgA腎症は、成人の腎不全の原因として糖尿病性腎症に次いで多い。小児IgA腎症は、腎機能の障害が起きにくいと考えられていた時代もあったが、成人になってから徐々に腎機能が低下し、最終的に腎不全に陥る例も多いことが分かってきた。近年、IgA腎症も含めた慢性腎炎の有効な治療法が開発され、腎障害の進行阻止や治癒が可能となってきている。

 学校検尿が開始されて以来、小児慢性腎炎による新規透析導入者は年々減少している。10〜15年の期間を経た20〜30歳代の若年成人における新規透析導入者の減少も確認されている。血尿、たんぱく尿の他に尿糖も検査するので、無自覚の糖尿病の発見にもつながる。異常を指摘された生徒の保護者の方は必ず医療機関を受診させてほしい。

 一方、学校検尿の問題点も指摘されている。検尿で陽性と言われ、様々な生活規制がなされた結果、身体的、精神的な不調を訴える例も報告されている。血尿単独や軽度たんぱく尿の子どもは、進行する腎臓病がある可能性は少ない。余計な不安や不要な生活制限を与えてしまうことがないよう、我々医療者は肝に銘じる必要がある。

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