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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

患者が求める「優しさ」とは 大日向輝美

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

 ●札幌医大保健医療学部長 大日向輝美

 ある人から「どんな看護師を育てたいのか?」と聞かれた。私の回答はその人の気に入るものではなかったらしい。「優しい看護師ではダメなのか?」と彼は言った。

 その時、私の頭の中には「優しい看護師」も「優しい看護」も存在していなかった。「優しい」という一般用語はいかようにもとれる概念で、専門職の実体を表すものではないからだ。「優しさ」は必ずしも看護師の専門知識や判断力を前提としない。

 手術翌日に点滴台を押しながら「病棟を歩け」と離床を促す看護師を、患者は「優しい」とは捉えないかもしれない。しかし、看護師は歩くことが回復を促進するのを知っているから、早期かつ安全に離床できるように支援する。

 学生の受け止めを知りたくなった私は、看護学を学ぶ大学2年生に「どんな看護師になりたいか?」と聞いてみた。「優しい看護師」は誰からも出てこなかった。また、ある学生はこう述べた。「優しい看護師が優れた看護を実践できるとは限らない」

 過去に行われた世論調査では、望ましい看護師像として80%の人が「優しさ、思いやり」をあげている。「正確な知識、技術のうまさ」は57%だった。看護する側は優しさを意識していないが、受け手は看護師に優しさを求めていることがわかる。

 ある研究によれば、患者が「優しさ」を認知するのは「人としての患者への深い関心」「患者本位の姿勢」「不安や苦痛を軽減し、安心感を促す言動」などに対してだという。別の研究では「傾聴的姿勢」「共感的態度」「分かりやすい説明」に「優しさ」を感じていた。痛みのある部位に触れたりぬくもりを与えたりすることも「優しさ」と受け止められている。

 看護の受け手は、看護師の人としての特質や患者との関係性に「優しさ」を見いだしているようだ。ただ看護学の立場からいえば、このような行動は専門的な知識と技術、専門職としての倫理に裏づけられたものだ。患者からみた「よい看護師」を探った研究では、知識と技術、観察力や判断力、責任感、向上心など、専門職としての要素も重視されている。

 病気や入院で苦痛や不安を抱える患者に深い関心を寄せ、人間味のある的確な対応によって癒やされたと感じた時に、人は看護師を「優しい」と捉えるのかもしれない。優れた看護を実践できる看護師こそが、真に優しい看護師だということだろう。

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