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水曜「働く・暮らす」【現場一話】

札幌の居酒屋「炎」研修センター店

写真:「教官」の平野さん(一番右)に付き添われて注文を取る増田さん(中央右)=札幌市中央区 拡大「教官」の平野さん(一番右)に付き添われて注文を取る増田さん(中央右)=札幌市中央区

写真:佐々木稔之社長 拡大佐々木稔之社長

 ■店まるごと新人教育の場

 店員のほぼ全員が「新人」――。そんな居酒屋が先月、札幌市中央区にオープンした。外食中堅の「伸和ホールディングス」(同市)が新人に接客を学んでもらう研修用店舗として開いた。深刻な人手不足のなか、研修を充実させ、若者の離職をふせぐねらいだ。未熟な新人「教育料」として、ふつうの店舗より価格を割引き。店も客も「おいしい」居酒屋を目指す。

 「はい、研修生お伺いしまーす」

 6月下旬、JR札幌駅近くのビルの地下にある「炭火居酒屋 炎 生つくね研修センター店」。店長の平野泰成さん(32)に付き添われ、アルバイトの増田百華さん(19)が客の注文を取りに来た。

 増田さんはこの日が初出勤。平野さんの胸には「教官」の名札があった。

 「ビールでございます、こちらお通しのきんぴらごぼうでございます、ね」。平野さんからそう指導されると、増田さんはお盆を両手で持ち、慎重にテーブルに運んだ。

 店には店長のほか、ホールとキッチンに1人ずつ指導役がいる。この3人以外は新入社員か新人アルバイトだ。約10日間、接客や調理を学び、看板メニューのつくね串を焼く「最終試験」に合格すれば、ほかの店に配属される。

    *

 この店はもともと一般店舗で、6月6日に研修用に生まれ変わった。なので、内装は変わらず、メニューもほかの店と同じだ。ただ、接客が未熟な分、つくね串は2割引き、飲み放題90分は500円など、価格を抑えた。

 3度目の来店という会社員の寺崎邦彦さん(27)は「安さが一番の魅力。コストパフォーマンスが高い」。ビールが注文より1杯多く来るハプニングに、会社員の苫米地紹夫さん(49)は「接客に慣れていないと分かっているのでイラッとはしない。むしろ応援したくなる」と見守る。

 店をつくったきっかけは、採用したばかりの社員やアルバイトの退職が相次いだことだ。忙しさで教育に時間をかけられず、仕事になじめなかったことが理由という。平野さんは、新人を1カ所に集め、きめ細かに指導する店舗の創設を社内で提案。アイデアが採用されると、自ら教官になった。佐々木稔之社長(45)は「『社内ベンチャー』のようなもの」と言う。十数人の「卒業生」はいまも各店で活躍しているという。

 同社は事業拡大を見込んで研修用店舗を増やし、10店に1店の割合を目指す。佐々木社長は「お客様から『頑張ってね』と新人に声をかけていただくことが思った以上に多くてありがたい。人材の定着を図りたい」と話している。

 (布田一樹)

 ■早期離職防げ、知恵絞る企業

 新卒の就職活動は学生優位の「売り手市場」が続く。4月の大卒の就職率は調査を始めた1997年以来、過去最高だった。一方、就職後3年以内の離職率は3割にのぼる。企業は、自分のイメージと違ったなどの理由ですぐに辞めてしまう「ミスマッチ」の解消に知恵を絞る。

 注目の一つが「逆求人」の就職支援サイトだ。学生がサイトに自己PRを書き込み、企業が関心を持った学生に近づく。例えば「オファーボックス」は登録企業がこの5年で40倍以上の4千社になった。運営会社は「企業が求める人材に近い学生に直接アプローチできるので、ミスマッチを防ぎやすくなる」と話す。

 「リファラル(紹介)採用」は、社員の人脈を通じて学生に接触する方法だ。就職情報大手リクルートキャリアの調査では、従業員数5千人以上の企業の30.3%(前年比13.1ポイント増)が来春採用で実施すると答えた。事業開発室の高橋和彦マネジャーは「社内に知り合いがいる方が不安なことを相談でき、早期離職が減るなどのメリットがある」としている。

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