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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

理学療法の道、誇りを持って 寒川美奈

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

 ●北大大学院保健科学研究院准教授 寒川美奈

 理学療法を学ぶ大学4年生は今、病院での臨床実習の経験を終え、卒業後の就職先や大学院進学など、自分がどの方向へ進むべきか悩み始めるころ。私もときどき相談を受けることがあります。

 理学療法士は、ケガや病気からの社会復帰を、リハビリを通してお手伝いする仕事です。私が理学療法士になったころは大部分が病院に就職していましたが、最近は医療機関以外にも介護福祉施設、行政や企業、教育・研究機関、留学、スポーツ現場など進路が多様化し、それが悩みにも関係しているようです。

 私はこれまで、理学療法士として医療機関、教育・研究機関で働いてきました。理学療法士になってまもなくリハビリを担当したある患者さんは、離島で漁師をされていました。夏のある日、無免許運転の未成年のバイクにはねられ、ドクターヘリで札幌の病院へ緊急搬送されました。

 体中に10カ所以上の骨折があったため、関節固定と寝たきりが続いた結果、関節は固まって動かすたびに大きな痛みが続きました。ケガをしたことで収入が絶たれてしまい、高校生だったお子さんが進路を変えざるを得なかったということでしたが、自分をはねた少年を責めることはありませんでした。弱音を吐かず、早く島へ帰って漁師に戻りたいと言って毎日黙々と歯を食いしばり、一生懸命リハビリを頑張っていました。

 新米の理学療法士だった私は、父と同じくらいの年齢だったその患者さんが頑張る姿を見て大きな力をいただき、どうしたら早く島へ帰れるのか、関節が早く曲がるようになるのか、ひとりで船を操って重たい網を動かすことができるようになるのかと、いろいろ勉強しました。そして、1年以上の入院と苦しいリハビリ生活を経た夏、その患者さんはまた故郷の島の漁師へと戻ることができました。

 理学療法では答えは一つではないことも多く、常に勉強が必要です。患者さんに教えられたり、力をいただいたりすることも数多くあります。患者さんに寄り添って二人三脚でリハビリをしていく中で効果が見えたり、感謝の言葉をいただいたりする経験を通して、理学療法士はとてもやりがいのあるお仕事だと感じています。

 理学療法の道へ進もうとしている学生の皆さん、どうか進もうとしている職業に誇りを持って、自分にしかない人生の道を大いに楽しみ、切り開いていって下さい。応援しています。

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