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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

抗生物質の使用、迅速・適切に 高橋豊

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

 ●KKR札幌医療センター・小児科特任部長 高橋豊

 子どもの発熱は、ほとんどが風邪(ウイルス感染症)によるものだ。(細菌に有効な)抗生物質は、風邪には効かない。

 4月の診療報酬改定で、厚生労働省は、医師が乳幼児の風邪や下痢に抗生物質を使わずに適切な説明をすれば、医療機関に報酬を支払う仕組みを新たに設けた。薬が効かない「耐性菌」が、抗生物質の誤った使い方によって広がるのを抑えるためだが、報酬の有無に関わらず、小児科医の多くはそういった意識で診療していることと思う。

 ただ、発熱が風邪によるものか、細菌感染症によるものかの鑑別は難しいことも多い。現在は、痛みも少ない指先などからの微量採血で、数分で結果が出る血液検査機器が普及しており、この検査で白血球数とCRPという炎症反応を調べると、ある程度の鑑別は可能となる。

 乳幼児で抗生物質を迅速かつ適切に使う必要がある病気の代表は「細菌性髄膜炎」と「尿路感染症」だ。このうち髄膜炎は、主たる原因であるインフルエンザ菌と肺炎球菌のワクチンが定期接種化されたのち激減した。

 尿路感染症はこの場合、上部尿路感染症と呼ばれる急性腎盂(じんう)腎炎を指す。症状は高熱だけのことも多く、時に嘔吐(おうと)、不機嫌、哺乳不良といった、あまり特徴のない症状を伴うこともある。乳幼児の発熱の原因としては4・0〜7・5%と多く、2カ月以下の乳児ではさらに倍増する。

 尿の白血球の増加(膿尿〈のうにょう〉)があるかどうかで診断し、尿培養検査で一定数以上の菌が検出されることで確定する。ただ、まれではあるが膿尿が確認できない上部尿路感染症(急性巣状細菌性腎炎)もあるので要注意だ。

 子どもの腎盂腎炎は通常、入院した上で抗生剤の静脈内投与を行い治療する。乳幼児では、尿路感染症を起こしやすい膀胱(ぼうこう)尿管逆流症や他の尿路奇形を伴う確率が高いので、必ず腎臓や尿管、膀胱の形態を超音波検査で調べる必要がある。

 疑わしい場合や腎盂腎炎を繰り返す場合、排尿時膀胱尿管造影という検査で尿逆流の有無を調べる。逆流程度が強かったり、腎盂腎炎を繰り返したりする場合は、抗生剤の予防投薬や手術を考える必要がある。放置すると腎障害を起こす可能性があるからだ。

 乳幼児の腎盂腎炎は、診断の遅れや不適切な治療・管理が、将来の慢性腎疾患のリスクとなる。適切な診療が必要だ。

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