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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

がんの見逃し、防ぐためには 高橋将人

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

 ●国立病院機構北海道がんセンター副院長 高橋将人

 東京の医療機関で複数の患者の肺がんが見逃され、少なくとも1人が死亡したとの報告がありました。画像診断を行ったにもかかわらず、がんが見逃された例も、関東の大学病院などで報告されています。残念ながら、同じような事例は、全国の病院、診療所でも起きていると思います。

 がんが存在しているのに、それを医師が見逃すなんてとんでもない――これが一般の方の印象でしょう。場合によっては「そんな医師は、免許を持つ資格はない。すぐにやめさせろ」などと考えるのではないでしょうか?

 今はCT検査の画質も格段に良くなっています。主治医は、専門領域はしっかり見えるので、より時間をかけしっかり診断しようとします。

 一方、専門外のところは、映っているのに目に入らないということも起き得るのです。間違い探しクイズで、なんでこんな所に気付かないのかというのに似ています。正直にいうと私も、自分の専門外のがんやその他の病気を見逃しそうになり、ハッとしたことが何度かあります。

 このようなことを防ぐために、放射線科医が勤務している病院では、主治医とは別に放射線科医が画像の専門家として独自に読影し、その結果を報告書にまとめます。診療報酬が加わっていてコストはかかりますが、専門外の領域の見逃しを防ぐためにとても役立っています。

 がんの見落としの問題は患者の命に直結し、医師の研鑽(けんさん)不足の問題だけではすまされません。まずは、主治医だけでなく、放射線科医が別の目で読影して報告書に残す。それを主治医がしっかり読んで理解し、確実に患者に伝える。これらは一つひとつチェックされ、救急などの緊急の状況を除き、例外なく行われる必要があると思います。

 患者の診察をする以上、医師は研鑽を続けなければなりません。ただ、医師個人の力量の問題に片付けるのではなく、システムの不備としても考えなければなりません。

 例えば車の運転。安全運転が鉄則ですが、車には様々な安全装置があります。シフトレンジがパーキングでなければエンジンがかからない仕組み、シートベルト着用の警告、自動ブレーキシステムなど、大切な命を守るにはこれらの力も必要ですよね。

 患者さんの命を守るために、より安全な医療システムを構築することは、我々の責務だと思っています。ただ、そのためにコストや時間がかかることはご理解ください。

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