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水曜「働く・暮らす」【現場一話】

北の住まい設計社

写真:「美しさと厳しさ両方を併せ持つ自然の中に身を置くと、ものづくりのエネルギーをもらえるんです」と話す渡辺恭延社長=東川町「北の住まい設計社」ショールーム 拡大「美しさと厳しさ両方を併せ持つ自然の中に身を置くと、ものづくりのエネルギーをもらえるんです」と話す渡辺恭延社長=東川町「北の住まい設計社」ショールーム

写真:廃校になった小学校の校舎を利用した「北の住まい設計社」の工場=東川町 拡大廃校になった小学校の校舎を利用した「北の住まい設計社」の工場=東川町

 ■道産木材の個性いかす家具

 北海道の最高峰・旭岳のふもとに広がる東川町は、豊かな森林資源をいかした木工業が盛んだ。家具や住宅の設計・製作を手がける「北の住まい設計社」の工場は、町中心部から離れた森に溶け込むようにある。小学校の廃校跡を譲り受け、1985年から稼働している。

 イタヤカエデやミズナラ、カバ、センなどを原材料に、机や椅子、テーブル、ベッドが、職人により丁寧に作られていく。使うのはすべて北海道産広葉樹の無垢(むく)材。節や色、木目など、その木が持つ質感や個性をそのままいかした家具は、自然志向の消費者の支持を集めている。

 工場の隣のショールームには、家具のほか、世界中からセレクトした、自然環境に負荷をなるべくかけない雑貨や生活用品を販売。カフェやベーカリーも併設しており、休日には道内各地から多くの人が訪れる。

 コンセプトは「北海道の気候風土に合った暮らしのスタイルを、家具を通して提案する」。78年の創業以来、理想を追い求めてきた渡辺恭延(やすひろ)社長(73)は「40年かかって、ようやく一つの形になりつつある」と感慨深げだ。

    *

 大学でデザインを学び、「家具の街」として知られる旭川市の家具デザイン事務所に就職。その後独立した。

 当時は大量生産、大量消費が当たり前の時代だった。環境破壊も進んでいた。海外の広大な森林が先進国の木材生産のため伐採されていることに心を痛めた。

 失われていく自然を次世代に残していくために何ができるか――。たどり着いたのが「自然にも人にもやさしい、永く使える家具」だった。ホルムアルデヒドなど化学物質を使った合板や集成材を使うのをやめ、丸太から切り出した無垢材を使うことにした。原材料の半分を輸入に頼っていたが、百%国産、それも道内産に切り替えた。

 材料を大量購入できない分、生産量は限られ、均一の製品に仕上げるのは難しい。価格も上がる。だが、1本1本異なる木の個性をいかすため、職人が工夫を凝らし手作りした家具は、一つとして同じものがなく、時間が経つほどに味わいのある風合いを帯びていく。

 家具へのこだわりは、2000年代初頭から始めた家づくりにも反映されている。設計図に木を合わせるのではなく、「この木はこの部分に、この木はここに使えそう」と、木の個性に合わせて家を組み立てていく。需要は着実に増え、今は道外からの注文も多い。

 機械や人工知能(AI)など、何から何まで人の手が不要になっている時代のなかで、あえて「人間が手をかけることの意味」にこだわりたいと言う渡辺さん。「お客さんが値札でなく、製品そのものを見て気に入ってくれて、かつ作る側の思いに共感してもらえるようなものを、これからも作っていきたいですね」

 (斎藤徹)

 ■道面積の7割、豊かな森林資源

 道林業統計(2016年度)によると、道内の森林面積は約554万ヘクタールで、土地総面積の70%を占める。素材生産量は針葉樹347万立方メートル、広葉樹74万立方メートル。木材供給量722万立方メートルのうち、道産材は421万立方メートルで、道産材自給率は58%。

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