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07月13日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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レトロ建物グラフィティー【レトロ建物グラフィティー】

澤田邸

写真:イラスト・松本浦 拡大イラスト・松本浦

■文学華やかなりし時代 今に

 たおやかな木々の緑に囲まれた澤田邸は、通りすがりの人でもつい足を止めて見入ってしまうほど、赤い三角屋根と下見板張りの外壁が美しい古民家である。ここは、11年前に他界された、作家で文芸誌『北方文芸』(終刊)の生みの親でもある澤田誠一さんの生家。

 現在は、妻の廣子さん(90)が療養中のため、同じ敷地内に住む長男の澤田展人さん(64)と妻の佳代子さん(62)が管理する。展人さんによると、「大正の終わりか昭和の初めに建てられたそうで、昔の農家の造り。幼い頃は柾(まさ)屋根で、大雨や雪解けには雨もりがあってバケツを用意したものです」。

 勝手口から見学させてもらうと、入ってすぐに12畳ほどの広い土間があり、その奥の居間にはかつて囲炉裏が備えられていたそう。展人さんは、乳飲み子の時にそこへ転げ落ち、瀕死(ひんし)の重傷を負った過去を持つ。

 そのほか、ソファが用意された応接間や仏壇の置かれた床の間など幾つもの部屋が、広い庭に面した縁側に沿って並ぶ。さらに奥には、建て増しされた茶室造りの離れがあり、迷路のように複雑。しかし、欄間や障子に至るまで凝った造作がなされ、まるで民芸調の郷土資料館を訪れているかのようだ。

 かつては多くの作家がこの家を訪問したという。「『火山灰地』の久保栄や『森と湖のまつり』の武田泰淳が訪れ、『海炭市叙景』の佐藤泰志は泊まっていったと聞いています」。文学が華やかなりし頃の記憶を今に伝える、希少な建物である。

 ◆札幌市豊平区平岸1条16丁目 電話011・842・8070

 (和田由美)

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