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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

災害時の看護、教育促進を 大日向輝美

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

 ●札幌医大保健医療学部長 大日向輝美

 7月の西日本豪雨の被害は広域に及び、多くの人命が失われた。避難所や被害を受けた自宅で生活する人たちも多く、劣悪な環境での健康被害も心配される。

 災害から数週間が経った8月初め、大学院の修了生が被災地に赴いた。任務は医師らと共に医療支援を行うこと。彼女が出会った被災者の健康問題は多岐にわたっていた。

 復旧作業による身体の痛みや切り傷などのけが、化学物質に起因する皮膚や目の異常、空気中の粉じんが原因の呼吸器症状、高血圧などの持病の悪化、熱中症……等々。不眠や頭痛など、精神的ストレスが影響していると思われる症状も多かったそうだ。

 天災・人災は、多くの死傷者が出るだけでなく、被災者の生命・健康を長期にわたって脅かす。そこで重要になるのが「災害サイクル」という概念だ。災害サイクルとは、災害の発生・復興の過程を時間経過で捉えるもので、超急性期(〜72時間)、急性期(〜7日)、亜急性期(〜1カ月)、慢性期(〜3年)、静穏期に区分される。医療支援には、各期の特徴を踏まえた対応が重要とされている。

 災害発生時の看護職の役割は、災害が及ぼす健康生活への影響を少なくし、生活再建のための継続的な支援を行っていくことだ。発生直後の救急医療から、感染症対策、精神ケア、保健・衛生活動まで、災害サイクルの全てに及ぶ。個人や集団に対する医療提供や予防活動に加えて、保健活動の拠点づくりや支援計画の立案にも関わる。

 修了生が被災地に出向いたのは亜急性期から慢性期にかかる時期だった。復旧活動による疲労の蓄積に避難所生活や生活再建に伴うストレスが重なって、感染症や新たな疾患の発生が問題となってくる頃である。心身に変調を来す被災者が増えるこの時期、看護職には災害関連死を防ぐための援助が求められる。とりわけ重要なのは、避難生活のリスク要因を生活環境から減らしていくことだ。

 災害看護では、現場の状況と地域のニーズを迅速に把握し、必要な支援内容を判断する即応性、状況に応じて臨機応変に行動できる柔軟性、資源の限られた状況下で知識と技術を的確に提供する専門性など、優れた資質が求められる。しかし、災害現場に対応できる看護職の育成は、まだ始まったばかりである。

 災害は世界中で多発している。一人でも多くの生命を救うため、災害看護教育の取り組みを加速する必要がある。

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