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水曜「働く・暮らす」【現場一話】

岩見沢「10Rワイナリー」

写真:ブドウ畑を見回るブルース・ガットラブさん=岩見沢市栗沢町上幌 拡大ブドウ畑を見回るブルース・ガットラブさん=岩見沢市栗沢町上幌

 ■空知ブランド化の夢へ、根を張って

 道央の空知地方が、新たなワインの産地として注目されている。個性的なワイナリーが増え、愛好家の人気が高まっている。そのきっかけをつくったのが、2009年に岩見沢市に移住した米国出身のブルース・ガットラブさん(56)。自家栽培のブドウで究極のワインづくりを進める一方、地域全体のレベルアップにも貢献している。

 「みなさん、まだワイン、飲めないでしょ。おいしいかどうかわからないし、どういう話をしたらいいのか、悩みます」

 13日、岩見沢農業高校(岩見沢市並木町)食品科学科の教壇に、ブルースさんの姿があった。「ワイナリーから見た農業と空知の魅力」というタイトルの特別講義。生徒14人に対し、ブドウ栽培やワインの製法、産地の違いなどについて説明した。

 ブルースさんは米国・ニューヨーク州生まれ。カリフォルニア大学で醸造学を学び、各地のワイナリーで実地経験を積んだ。1989年に栃木県足利市の知的障害者施設が運営する「ココ・ファーム・ワイナリー」に招かれ、醸造を指導。そこでつくられたワインは、沖縄、北海道洞爺湖サミットにも使用された。

    *

 09年に岩見沢市栗沢町上幌に家族とともに移住、「10R(とあーる)ワイナリー」を設立し、12年からワインの醸造を始めた。講義では、「畑の場所でワインの全てが決まる。栽培に適している場所にはおいしいブドウができる。岩見沢はその一つ」と明かす。

 ブルースさんによれば、岩見沢は夏の気候が良いという。雨が少なく、湿度が低いため、実がかびにくい。寒暖差もある。ブルースさんは「昼間に晴れると、うまみがあるブドウになり、夜が寒いと、味、色、香り、糖度、酸味の乗りがよくなる」と話す。

 ブルースさんは、赤ワイン用のピノ・ノアール、白ワイン用のソーヴィニヨン・ブランなどを1・6ヘクタール栽培している。岩見沢産のブドウは豊かな香り、さわやかな酸味が特徴だ。

 ブルースさんの夢はさらに広がる。周囲の農家などを巻き込んで、空知地方をワインの一大ブランドにしようと試みている。農家が持ち込んだブドウをブルースさんが委託を受けて醸造し、独自のブランドを売り出す。いっしょにワインをつくり、醸造のノウハウを蓄えて、のちに独立する手助けもする。ブルースさんの協力を得て、昨年も新たなワイナリーが空知地方に誕生し、産地としてさらに活気付いている。

 5日未明に北海道に接近した台風21号や6日未明の胆振東部地震では、それほど被害はなかった。とはいえ、毎年、気候が変動し、ブドウ栽培はたやすいものではないという。ブルースさんは「ブドウの木のように、ここで自分もしっかり根っこを張っていきたい」と力を込める。

 (岡田和彦)

 ■道内ワイナリー、増加

 道農政部の「醸造用ぶどう導入の手引」によると、2018年3月現在、道内のワイナリーは35カ所。10年前から2.5倍に増えている。そのうち、後志地方が16カ所と最も多く、空知地方は2番目で6カ所。

 道空知総合振興局の「そらちワインガイド」には、6カ所のワイナリーのほか、醸造所を持たない栽培農場(ヴィンヤード)4カ所も紹介されている。歌志内市でも植栽が始まり、来年度は滝川市でも新設されるほか、小規模の栽培農家も年々、増えているという。

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