メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

05月19日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

「がん免疫療法」偽物に注意 高橋将人

写真: 拡大

写真: 拡大

写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

 ●国立病院機構北海道がんセンター副院長 高橋将人

 久々にうれしいニュースが飛び込んできました。「PD―1分子」の発見などが評価され、京都大の本庶佑・特別教授らにノーベル医学生理学賞の授与が決定しました。これがなぜ画期的なのか、簡単に説明させていただきます。

 我々の体には、病原菌などの悪者を排除する「免疫」という仕組みが備わっています。免疫には非常に激しい性質があり、間違いを起こすと自分の体を攻撃し、最悪、個体全体が死滅してしまいます。そんなことにならないよう、免疫にはスイッチが入る機構と同時に、ブレーキを踏む機構も備わっています。

 「がん」は体にとって悪者です。しかし、元々は我々自身の細胞が変化したものなので、完全に異物と判断するのは困難です。免疫の機構でがん細胞を攻撃するのは「Tリンパ球」です。しかし悪賢いがん細胞は、Tリンパ球の表面の「PD―1」というブレーキを踏み、自分への攻撃力を弱めてしまうのです。

 本庶先生は、PD―1のブレーキ機構を世界で初めて発見。その後の研究で「オプジーボ(一般名ニボルマブ)」という薬を開発しました。この薬はPD―1のブレーキを解除する役割があり、Tリンパ球のがんに対する免疫作用を再び活性化する効果が、基礎実験で認められました。

 皮膚がんの一種「メラノーマ(悪性黒色腫)」で効果が確認され、さらに肺がん、胃がんなど多くのがんでも著しい効果があることが判明。厚生労働省も迅速に保険適用を拡大しました。本庶先生がPD―1を発見したおかげで、多くのがん患者の命が救われました。まさにノーベル賞にふさわしいと思います。

 一方、オプジーボは巨額の開発費がかかるため、高額な薬価による医療費の増加という問題点も社会に問いかけることになりました。がんに関わる費用の問題は、また別の稿で考えてみたいと思いますが、このニュースもあって、高額だが効果が期待される新薬が登場したことが知られるようになりました。

 PD―1に関連する薬剤はすべて、有効性が確認されたものだけが保険で使用可能となっています。しかし、ネットで「がん免疫療法」を検索すると、治験の行われていない自由診療での免疫療法がたくさん出てきます。正直、詐欺まがいのものもあります。

 本庶先生が成し遂げた免疫療法を発展させ、多くの方にその恩恵を届けるためにも、偽物にだまされない仕組みが必要とされています。

PR情報

ここから広告です

PR注目情報

北海道報道センターから

北海道アサヒ・コムへようこそ。
身のまわりの出来事やニュース、情報などをメールでお寄せ下さい(添付ファイルはご遠慮下さい)
メールはこちらから

朝日新聞 北海道報道センター 公式ツイッター

注目コンテンツ