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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

食物アレルギー、どう防ぐ 高橋豊

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

 ●KKR札幌医療センター・小児科特任部長 高橋豊

 10月に岡山であった「日本小児アレルギー学会」に参加した。目玉企画は、今年のノーベル賞受賞が決まった本庶佑先生の特別講演。2年半前に承諾いただいたものだが、受賞決定後は生活が一変するほど多忙になると聞く。キャンセルや代理講演になることも心配されたが、ご本人が「いったんした約束は守ります」と言われ、実現したと学会長が教えてくれた。

 演題は「がんを免疫力で治す」。受賞の対象となった免疫チェックポイント分子「PD―1」の発見から、企業との交渉による薬の開発、臨床試験から発売の経過、さらには多種多様ながんに効く可能性があるという今後の話もあり、実に刺激的だった。この講演だけでも参加する価値があったと喜んでいる。

 今年の学会の主要テーマの一つは「アレルギー疾患の発症予防」。近年、アレルギーと皮膚の関連が注目され、(1)まず湿疹が現れ(2)湿疹のある皮膚から特定の食物に反応しやすくなる「食物感作」(特異IgE抗体陽性化)がおこり(3)食物アレルギーが発症(4)さらに他のアレルギー疾患発症にも発展する、という仮説が定着しつつある。

 湿疹の発症が早いほど、そして重症度が高いほど、食物感作率が高くなる。そこから「アトピー性皮膚炎の発症を抑えることで、食物アレルギー発症を抑制できないか」という観点が生まれた。また、新生児期から保湿剤を用いることでアトピー性皮膚炎発症が減ったとの報告もあり、スキンケアの重要性があらためて認識されるようになった。

 座長を務めたスキンケア実践セミナーは多くの参加者でにぎわい、関心の高さをうかがわせた。しかし、保湿で湿疹発症を抑制しても、それで食物感作を減らせるかについて、まだ結論は出ていない。現時点では、アトピー性皮膚炎の早期治療と、もう一つの発症予防の要である食物の早期摂取が重要となる。

 当院からは「湿疹がある小児の食物感作率は、離乳食が開始される生後5カ月では70%以上と高率で、かつ抗体価が高いことも多い」という報告をした。早期摂取が良いからと安易に食べさせると、強いアレルギー反応が出るおそれがある。中等症以上の湿疹がある子どもは、感作の有無を確認し、安全に摂取する方策を考える必要がある。

 本庶先生の仕事には及ぶべくもないが、私たちも臨床の場で少しでも子どもたちの役に立つ知見を見いだせるよう、日々努力していきたい。

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