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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

迅速検査、意義と欠点の認識を 高橋豊

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

 ●KKR札幌医療センター・小児科特任部長 高橋豊

 今年もまた、インフルエンザのシーズンがやってくる。我が国では小児のインフルエンザ診療は、鼻腔(びくう)の迅速検査で陽性を確認して、治療を開始するのが一般的だ。

 私は、小児科医会会員として札幌市夜間急病センターの準夜勤務をしているが、流行シーズンには発熱直後に受診される方も多い。

 「まだ早すぎて陰性となる可能性が高いので、明日かかりつけの病院で調べてもらう方が良いと思います」

 「いえ、心配なので今、調べて下さい」

 そんなやりとりがしばしば行われる。

 病原体の迅速検査は、インフルエンザ以外にも多くのものが使えるようになった。気道の感染症はRSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、マイコプラズマ、胃腸炎はロタウイルス、ノロウイルス、咽頭(いんとう)炎は溶連菌とアデノウイルスがある。

 有用な検査だが本来、症状・所見と流行状況から疑われる病原体の検査を行うべきで、意義と欠点を十分認識した上で活用したいものだ。

 ちなみに、治療薬があるのはインフルエンザ、溶連菌、マイコプラズマに限られる。溶連菌検査は広くおこなわれているが偽陽性も多く、治療が効かないため調べてみると結局、他の病気だったということもしばしばある。

 マイコプラズマ感染症は、症状と検査所見でおおむね診断が可能。アデノウイルス咽頭炎は、見た目も検査もいかにも化膿(かのう)性を疑わせるが、抗生剤は無効だ。診断することで高熱の持続が予測でき、不要な治療を回避できる。

 RSウイルスは、1歳未満児、早産児、心疾患をもつ子どもなどが重症化しやすい。リスクの高い子どもは、陽性なら早めの入院を考慮するといった判断も可能となる。検査適応は、基礎疾患を持つ子ども以外は1歳未満に限られる。ヒトメタニューモウイルスは、RSウイルスと同様に呼吸症状が強く出て、ぜんそく発作の誘因にもなる。

 胃腸炎は便で調べるが、ロタウイルスによるものは熱・嘔吐(おうと)・下痢が連続して現れ、容易に脱水になるので、早めの対応で重症化を防ぐことができる。ノロウイルスによる胃腸炎は本来、健康な子どもが重症化することは少なく、偽陰性も多い。

 迅速検査は、検査後の治療や感染対策など適切な行動を取るための一助として行うべきもの。単に病名をつけるためだけに検査をするのは慎みたいと思い、診療している。

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