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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

がんに影響する食事・免疫は 高橋将人

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

 ●国立病院機構北海道がんセンター副院長 高橋将人

 患者さんから、食事に関する質問をされることがよくあります。がん関連の学会では薬の効き目や副作用に関する討議はするのですが、食事に関する報告は決して多くはありません。食事や栄養が大事であることは、医師はみな知っているのですが、患者さんに説明できるほどの明確なエビデンス(医学的な証拠)はないのが現状です。

 医学的に栄養が注目されているのは、手術前後の栄養管理です。食道がんなど体に負担がかかる手術では特に重要で、栄養状態が良くないと、悪いところを切り取ったあとに残った食道と、つなげた胃や小腸などの消化管がうまくくっつかないことがあります(縫合不全)。ほかにも肺炎が悪化してしまい、命に関わることもあります。私はもともと外科出身ですが、大きな手術をする外科医は、患者さんの栄養状態に敏感です。

 栄養(食事)との関係では免疫も注目されています。免疫の最前線は、体の内側にありながら外側ともつながっている腸。生物としての乳酸菌その他の菌が繁殖しているとても不思議な器官で、それは腸内フローラ(腸の中の花畑)と呼ばれます。その構成は、過敏性腸症候群、クローン病などの腸疾患やアレルギーなど、免疫にかかわる病気と関連していることが、少しずつわかってきました。

 がんの進展や治療との関連については、まだまだエビデンスが十分とはいえません。ただ、今年のノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑先生の研究から明らかなように、がんと免疫は深く関わっているはずです。乳がん患者とそうでない人の腸内フローラは、再現性をもって違いが認められたという報告もあります。米国では、研究に巨額の予算が投じられており、がん免疫との関連が科学的に証明される日も、そう遠くはないかもしれません。

 ある種の乳酸菌を摂取することで腸内細菌が整えられ、それが治療に結びつけば理想ですが、事はそれほど単純ではありません。この善玉菌を取り入れればがんが治る、というものは、残念ながら今はありません。

 塩分や高脂肪食とがんの発生に関するエビデンスも、少しずつ積み重なってきました。現時点の結論は「がんを抑えたり白血球を増やしたりする食事」は明言できませんが、バランスのいい食事で腸内フローラを整えることは、直接的ではないにせよ、がんに対する免疫的な影響を与えていると思います。

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