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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

乳児、消化管アレルギーに注意 高橋豊

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

 ●KKR札幌医療センター・小児科特任部長 高橋豊

 食物アレルギーのほとんどは、「特異的IgE抗体」が関わる「即時型アレルギー」と呼ばれるものだ。即時型とは、食べてから2時間以内、通常は1時間以内に起こるものを指す。詳細に経過を聞いて、血液検査で疑わしい食物に対するIgE抗体陽性を確認することで診断できる。

 一方、IgE抗体が関わらない食物アレルギーもあり、新生児・乳児消化管アレルギー(新生児・乳児食物たんぱく誘発胃腸症)と呼ばれる。生まれて1カ月以内の乳児に多く、ミルクが原因となって嘔吐(おうと)、下痢、血便などの症状が見られる。適切に対処しないと命に関わることがある一方、体重がなかなか増えないだけ、血便だけ、といったより軽症の場合も知られている。新生児を扱う小児科医はしばしば経験する病気だ。

 最近、離乳食を始めてしばらくたったころに、食べて2時間以上経ってから突然、嘔吐する子どもの症例を見かけるようになった。この1年間だけで卵黄、小麦、ホタテがそれぞれ4例、3例、1例あり、決して少なくはない。

 激しい嘔吐が4〜5回続き、ぐったりして顔色も悪くなる。病院へ駆け込むと多くは点滴となり、時には入院に至る。下痢を伴うこともあり、診断はウイルス性胃腸炎とされることが多いが、周辺では流行がなく、下痢も1日程度で治まる。はたしてその診断で良いのかと、腑(ふ)に落ちないことになる。

 同様の症状を2度、3度と繰り返すと、両親は食物との関係を強く疑う。だが、受診しても通常の食物アレルギーと異なり、症状出現が遅い、発疹など他のアレルギー症状を伴わない、血液検査が陰性などの理由で、アレルギーではないとされることも多い。

 そういった経緯を経て紹介され、入院して食べさせる検査(食物経口負荷試験)を行い、診断に至った。卵アレルギーは即時型では卵白だが、このタイプでは卵黄が原因だった。米や大豆、魚、果物などによる報告もある。

 通常の食物アレルギーは症状が出ない量を少しずつ食べさせると治っていくが、現在のところ、このタイプの食物アレルギーは除去を続け、半年から1年ごとに負荷試験を繰り返し、治ったかを確認していくことになる。

 診断されないまま避けているうちに、自然に治っていたケースも多くいたと思われる。この病気の概念が広く知られるようになると、今後は報告例が増えてくるのではないかと推測している。

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