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金曜「ライフ・楽しむ」【わたし色】

変化する社会、食事の意味とは 美馬のゆり

写真: 拡大

 ●公立はこだて未来大教授・美馬のゆりさん

 今年のお正月は、お節料理を召し上がりましたか。普段あまり会うことのない、遠方に住む家族や親戚と食事を一緒にされたでしょうか。

 私が子どものころは、年末年始には父方や母方の実家に行き、大勢でわいわい食事をしたものです。たこ揚げや羽根つきのほか、室内では福笑いや花札などのゲーム。もちろんお年玉も楽しみでした。

 食事に関する科学技術の研究開発が進んでいます。たとえば、料理における人工知能の応用。これまで人間が思いつかなかったような料理を、ユーザーの好みに合わせて提案してくれます。

 人間の代わりに調理するロボットのレストランも出てきました。使った鍋まで自動で洗います。出来上がった料理を運ぶのは人間。なんか変ですね。

  □  ■  □

 3Dプリンターは家庭用のものまで出てきました。それで作るのは樹脂や石膏(せっこう)を材料にした立体物ですが、ハンバーガーなどの料理を作る研究も進んでいます。これが実用化されれば、ユーザーの健康状態に合わせて、脂質や糖質、ビタミンなどをコントロールできます。必要なだけ「印刷」するので、食品廃棄の問題もなくなります。

 コストの面ではまだ実用化に至っていませんが、培養肉という技術があります。牛や鶏、魚などの個体からではなく、食べることが可能な肉の細胞組織を培養することで、食肉を得るというものです。

 動物を殺す必要はなくなり、育てる際に出てくる二酸化炭素や糞尿(ふんにょう)などもなく、環境にもよいというわけ。培養するのは実験室のような環境なので、衛生的で安全です。

  □  ■  □

 でもここで違和感を持つのはなぜでしょうか。病気やけがの治療のための人工皮膚や臓器の研究開発はすんなりと受け入れられるのに。

 私たちの日常の食事も変化しています。夕食を近くの居酒屋やカフェで済ませる独り暮らしの高齢者が増えてきたといいます。親が遅くまで働いている子どもたちは、独りで食事を済ませることも。家族と一緒に食べていても、各人がスマホを見ていては、気持ちはそこにありません。

 健康や長寿を願う思いを込めて作るお節料理。これまでその作り方や意味は親から子へと伝えられてきました。日持ちがするように調理され、「え、またお節」と子どもは文句を言いながらも、みんなで囲んで食べていました。

 食事は、空腹を満たす、栄養を摂(と)るという目的だけではありません。誰とどこで何を食べるのか。食事をすることの意味とは。急速に社会が変化する中で、私たちにとってよい食事とは何でしょうか。

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