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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

母乳栄養、無理せず補って 高橋豊

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

 ●KKR札幌医療センター・小児科特任部長 高橋豊

 2015年度の調査によると、我が国における「完全母乳栄養」の割合は、生後1カ月で51・3%、3カ月で54・7%。先進国の中でも高く、また長く続けられている。

 種々の免疫成分を含む初乳は感染症抑制効果が高い。ほかにも乳児突然死症候群や小児期の肥満の抑制、認知機能(IQ)向上など、母乳栄養には良いとされる点が多い。子どもだけでなく母親にも、高血圧や2型糖尿病、メタボリック症候群などの慢性疾患の予防効果が言われている。

 完全母乳栄養に比べ、そうでない子どもは乳児死亡率が10倍以上高まるとされ、世界保健機関(WHO)も、生後すぐから6カ月までの完全母乳栄養を推奨している。ただし、これはウイルスや細菌による感染が死に直結する発展途上国でのことで、医療事情や衛生環境が整った我が国とは事情が大きく異なる。

 以前は、母乳にアレルギー疾患の発症予防効果があるとされていたが、現在は否定的だ。母乳不足で体重増加不良となる子どもも、時に経験する。粗悪な母乳がネット販売される事件が報道されたこともある。医療者は過剰なこだわりがおきないよう、サポートしていく必要がある。母乳を与える行為そのものが母子関係の確立に有効という観点から、母乳を少しでも与えていれば「母乳育児」と定義すべきだとする考え方もある。

 母乳が、赤ちゃんに最良の栄養であることは確かだ。だが、一方で不足しやすい成分もあり、注意も必要だ。

 例えばビタミンK。血液を固まらせる因子を作るのに必要な栄養素だが、以前は母乳栄養児の1700人に1人が頭蓋(ずがい)内出血を発症した。現在では、すべての赤ちゃんに出生1日目、5日目、1カ月目にビタミンKシロップを飲ませており、問題は解決した。

 次に問題となっているのがビタミンD不足。魚などビタミンDが多く含まれる食べ物の摂取が減ったことや、紫外線を避ける風潮も要因と考えられている。不足すると子どもが「くる病」になるほか、アレルギー性疾患の増加にも関わっているとされる。

 実際、冬の時期には乳児のアトピー性皮膚炎が多くなる。母乳で不足しても日光に当たると皮膚で作られるはずだが、北国のこの時期には十分な日光浴は困難なので、赤ちゃん用に作られたビタミンDのサプリメントを服用させるよう勧めている。

 母乳栄養は、欠点を補いながら、無理せず継続していただけたらと願っている。 

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