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水曜「働く・暮らす」【逸品 ひとモノ語り】

札幌・24Kの「EZObag」

写真:斬新なデザインの「EZObag」とデザインした高瀬季里子さん=札幌市中央区 拡大斬新なデザインの「EZObag」とデザインした高瀬季里子さん=札幌市中央区

 ■エゾシカの革、もっと身近に

 複雑な形を縫い合わせ、ふっくらと丸みを帯びたデザインが、独特の雰囲気を醸し出す。素材はエゾシカの革。しっかりとした手触りの中に柔らかさが感じられる。

 札幌市中央区でエゾシカ革を使ったかばんや小物などを製作する会社「24K」の高瀬季里子社長(40)が手がけた「EZObag(エゾバッグ)」。2010年、札幌らしさが基準の地域ブランド「札幌スタイル」に認証された。

 小さいころ、父親が趣味の狩猟から帰ると、食卓にはエゾシカ肉の料理が並んだ。今でも自分でカレーにしたり、だしを取ってスープにしたりする。エゾシカは生活の一部だった。

 東京の美大を卒業後、都内のクラフトショップで技術を磨き、革製品や宝飾品の企画や製作などに携わっていた。しかし、父親が倒れUターン。24歳で工房を立ち上げ、「ここでしかできないものづくり」を模索した。

 ちょうどエゾシカの繁殖や食害が大きな問題になっていたころだった。「駆除するだけではなく、何かできることはないだろうか」。エゾシカ革を使うことを思いついた。

 だが安定して入手する流通ルートがなかった。なめして素材となる前の皮は「生もの」。どうやって腐らないように加工し、素材として集めるか。しかも野生のエゾシカの皮は、けんかによる角の傷がついていたり染みだらけだったりで、使える部分が限られていた。

 なかなか思うようにいかない。「ハードルだらけでしたが試作を重ねていきました」。展示会に出展しながら続けていくと、流通ルートが確立してきた。

 素材の入手が軌道に乗ったのは、ここ数年のことだ。「もう辞めようと思ったこともあります」と振り返る。そんなときに札幌スタイルに認証されたり、地域の若い職人を応援する民間のプロジェクトで「北海道の匠」に選ばれたりした。「見てくれている人が必ずいる」。続けていく力が湧いた。

 エゾシカの革は繊維に空気を多く含み、ふんわりと柔らかく、それでいてしっかりとしているのが特徴だ。「EZObag」では、大自然の中で動植物が持つ有機的な線を表現したかったという。バッグでありながらバッグでない、アートに近いものを目指した。

 今では様々なジャンルの工芸品とのコラボに挑戦している。富山県の鋳物メーカーの錫のビアカップに、保温用カップホルダーをデザイン。大手時計メーカーの腕時計の革バンドも手がけた。

 増え続けるエゾシカは、有効利用が課題だ。北海道の産業として確立したいとの思いもある。「生活の中に、エゾシカの革が自然にあるようにしたいんです」

 (芳垣文子)

     ◇

 製品のブランド名は「24KIRICO」。ショールームが札幌市中央区大通西18丁目の文具・事務用品店「MIYOSHI−YA」にあるほか、JR札幌駅のJRタワーイースト6階「札幌スタイルショップ」、道内の一部リゾートホテルで展示されており、購入も可能。問い合わせは同社(011・577・8104)へ。ホームページはhttp://24kirico.com

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