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未来へのものさし #SDGs【未来へのものさし #SDGs北海道】

統一地方選、模索する現場(3)

写真: 拡大

写真:住民が運営するスーパー「みんなのお店 KAMIBI」。一部の商品の仕入れは自ら行っている=2月15日、芽室町 拡大住民が運営するスーパー「みんなのお店 KAMIBI」。一部の商品の仕入れは自ら行っている=2月15日、芽室町

写真:すべての人々に安全で安価な基本サービスを確保し、持続可能なまちづくりを進める 拡大すべての人々に安全で安価な基本サービスを確保し、持続可能なまちづくりを進める

 ●朝日新聞×HTB

 ■買い物弱者、生まぬために

 過疎化が進み、地元から商店が消えていく。日々の買い物に苦労する地域が増えている。

 ■撤退スーパー 住民ら後継ぐ

 北海道の真ん中を南北につらぬく日高山脈のふもと、芽室(めむろ)町の上美生(かみびせい)地区。約500人が暮らす地域に昨年5月、住民が手がけるスーパーが開店した。

 「みんなのお店 KAMIBI」。地域で唯一のスーパーが売り上げの低迷などを理由に閉店。その建物を使い、住民有志でつくるNPO法人上美生が運営している。商品の多くは、コンビニ事業も手がけるヤマザキ製パン(東京)から仕入れる。生鮮品や日用品の一部は別の業者に配達してもらうほか、住民自ら地元の卸売市場で買い付ける。

 大型スーパーがある町中心部までは約15キロ。路線バスは通っていない。多くの住民は車で買い物に出かけるが、お年寄りには厳しい。

 2月中旬、歩いてお店にやってきた女性(64)は「車を運転しないので、本当に助かります」。10日に1度、夫の運転で中心部に出向き、肉や魚をまとめ買いして冷凍保存しているが、冷凍できない牛乳や野菜を買い足すのにお店は欠かせないという。

 ■「負の連鎖を防ぐ」

 NPOの代表理事をつとめる山中智弘さん(63)は「みんなが安心して地元で暮らし続けられるようにしたい」と話す。都市部への人口流出が拡大し、いま以上に子どもたちが少なくなれば、地元の小中学校の統廃合も現実味を帯びる。そんな負の連鎖を防ぎたいという。

 ただ、経営は楽観できない。運営資金は住民や企業から集まった寄付770万円が頼り。赤字が続いて資金が底をつけば閉店せざるを得なくなる。損失に直結する在庫の廃棄を避けるために賞味期限が近づいた商品のセール情報をLINEで住民に知らせるなど、手探りの努力を続ける。

 農林水産省が15年の国勢調査をもとに作成した「食料品アクセスマップ」によると、自宅から店舗まで500メートル以上あり、さらに車を持たない65歳以上の高齢者は全国に824万6千人、道内には45万2千人いると推計される。いずれも10年前と比べて2割増えた。

 自治体が住民サービスの一環として、スーパーを整備する動きも出ている。

 国内最大級の作付面積を誇る「ひまわりの里」で知られる北竜町。昨年4月にオープンした複合商業施設「COCOWA」(ココワ)は、町が95%を出資する第三セクターの北竜振興公社が運営する。鉄骨一階建てにスーパーのほか、住民の交流スペースや商工会の事務所が入る。事業費は約3億7千万円。国の補助金約8千万円を除く分は町が負担した。

 ■暮らしのインフラ

 町内唯一のスーパーの撤退が決まり、町は当初、別のスーパーに出店を打診したが、人口約1800人の商圏では採算の確保が難しいと断られたという。副町長として施設整備に関わった振興公社の竹内範行常務(63)は「スーパーは住民の暮らしを支えるインフラだ。町外への人の流出を食い止め、地域のにぎわいを取り戻したい」と話す。

 一方、民間企業が撤退した地域でビジネスを手がけるのにはリスクも伴う。振興公社では、地元の特別養護老人ホームに食材を販売するなど売り上げの確保に努めている。赤字が慢性化すれば、住民負担につながりかねないからだ。

 北星学園大の岡田直人教授(地域福祉)は、「買い物弱者」が発生する地域では、病院や公共交通といった生活インフラの維持も難しくなっている可能性が高いと指摘。「買い物は高齢者の孤立感の解消や体力の維持にもつながる。医療や福祉と同じように、自治体が関与するのも解決策の一つだろう」と指摘する。

 (長崎潤一郎)

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