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未来へのものさし #SDGs【未来へのものさし #SDGs北海道】

統一地方選、模索する現場(5)

写真:帯広厚生病院=帯広市西14条南10丁目 拡大帯広厚生病院=帯広市西14条南10丁目

写真:十勝医療圏の面積と救急車の平均所要時間 拡大十勝医療圏の面積と救急車の平均所要時間

写真:3:あらゆる年齢の全ての人々の健康的な生活を保障し、福祉を促進する 11:すべての人々に安全で安価な基本サービスを確保し、持続可能なまちづくりを進める 拡大3:あらゆる年齢の全ての人々の健康的な生活を保障し、福祉を促進する 11:すべての人々に安全で安価な基本サービスを確保し、持続可能なまちづくりを進める

 ●朝日新聞×HTB

 ■救急搬送エリア、全国最大

 日本の総面積の約2割を占める北海道。隅々に医療サービスを届けようと、消防や医療機関などが工夫や努力を重ねている。

 「清水町の国道で、軽自動車が中央分離帯の鉄柱に衝突する事故が発生」

 昨年2月27日午後7時半、鹿追町の鹿追消防署に119番通報が入った。

 当直で待機していた救急救命士の森田賢・救急係長(41)は、すぐに他の署員2人とチームを組み、救急車で現場へ。移動中、運転者が車内に閉じ込められている可能性があるという情報も無線で入った。

 現場到着は通報20分後。中央分離帯の道路標識に突っ込んだ車は大破し、清水町からも消防車が駆けつけていた。左後ろのドアから車内に入り、運転者の様子を確認。意識はあるが、呼吸と脈が速い。「すぐに緊急事態だとわかり、身構える気持ちになりました」。森田さんはそう振り返る。

 都道府県が医療計画を立てるうえで、一般的な入院などをまかなえるように設定する「二次医療圏」は道内に21ある。帯広市、広尾町、足寄町など19市町村の「十勝医療圏」は約1万800平方キロで、全国平均の約1千平方キロの10倍。面積では秋田県(都道府県で6位)や岐阜県(同7位)に近く、全国最大だ。

 ■受け入れルール化

 事故や脳卒中、心臓病などでは、搬送時間の短さが治療の成果に直結する。だが、十勝医療圏の広さが不利には働いていない。2017年の調査では、救急車の現場到着時間は平均7・3分、病院収容までの時間は同37・0分。いずれも全国平均より短い。なぜか。

 「様々な条件が重なり、この数字が出せているのだと思います」。十勝広域消防局の山本秀雄・救急企画課長はそう話す。

 十勝地方は平野が広がり、冬場もほかの道内に比べて降雪量が少ない。高速道路なども整備され、救急車の移動がしやすい条件が整ってきているという。

 ■病院間の連携整え、時間短縮

 救急患者の受け入れ調整がルール化されている点も重要だ。受け入れ病院が決まらない場合、当番の救急医療機関が調整する。それでも決まらなければ救命救急センターが受け入れる。

 救急病院が集中する帯広市の立地も影響している。医療圏の中心に位置しており、救急車は迷わず帯広市に向かえば良く「患者を乗せたら、すぐに出発させることができている」(山本課長)という。清水町の事故でも、森田さんらは現場到着から10分後には救急車を発進、搬送中にも病院と4回連絡を取り、病院到着時にはすぐに治療に取りかかることができた。重傷の運転者は後遺症などもなく退院できたという。

 森田さんは「消防と医療機関の信頼関係ができている。それが患者さんの命を救うことにもつながっています」と話す。

 ■医師ら負担大きく

 ただ、先行きには不安もある。

 日本医師会の調査によると、域内の人口は15年から10年間で7%、その後の15年間でさらに14%、減少すると見込まれている。

 消防署員や救急救命士の数は限られている。鹿追消防署の場合、当直態勢時の署員は4人。救急救命士の森田さんたちも、火事の際には消防車に乗って出動し、消火活動を行う。管内の2カ所で同時に事故や火災が起こった場合、対応しきれない可能性もある。

 医療機関の数も減ると予想されており、いまの態勢がこの先、維持できる保証はない。

病院や医師の負担は小さくないからだ。帯広厚生病院の山本修司・救命救急センター長は「地方の医師が不足する時代に備えるには、地域を支える医師を育て、安心して働ける環境を整える必要がある。労働条件の向上や最新設備の導入のみならず、働きたいと思える地域づくりも大切だ」と話している。

 (田之畑仁)

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