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水曜「働く・暮らす」【逸品 ひとモノ語り】

函館少年刑務所「マル獄シリーズ」

写真:「マル獄シリーズ」の前掛けをもつ山崎宗則さん=札幌市東区 拡大「マル獄シリーズ」の前掛けをもつ山崎宗則さん=札幌市東区

 ■ブランド化、更正促す狙いも

 紺色の前掛けの真ん中に、丸で囲った「獄」の字が大きく書かれている。函館少年刑務所(函館市)の受刑者が刑務作業で作った製品で、その名も「マル獄シリーズ」。刑務所発の「オリジナルブランド」として、異例のヒット商品になっている。

 刑務作業製品といえば、家具や洋服、雑貨などが定番。受刑者が社会復帰に備え、職業訓練として製造しており、刑務所の常設展示場などで販売される。製品づくりは民間業者から工程の一部を受注する「下請け」のことが多い。

 一方、マル獄シリーズは刑務所職員が自らデザインを考えたり材料を調達したりしている独自製品だ。世間でネガティブにとらえられがちな刑務作業製品という事実を逆手にとり、前面に打ち出してブランド化。従来のイメージを覆すことに成功した。

 マル獄シリーズは前掛けのほかにも、大きな「獄」の字がプリントされた手提げ袋やブックカバーなどが、函館少年刑務所や函館山山頂の売店などで販売されている。

2008年には、全国の刑務作業による製品として初めて商標登録にもこぎ着けた。

 道内7カ所の刑務所などを所管する、札幌矯正管区の山崎宗則総務課長(51)は「誰かの『下請け』ではなく、一から製品を作ることで、受刑者はものづくりの楽しさを感じることができる。更生にもつながる」と話す。

 道内のほかの刑務所でも独自製品を作る動きは広がっている。

 網走刑務所は昨年、アイヌ文様が描かれたTシャツやストラップなどを開発。その際、阿寒アイヌ協会などでつくる「阿寒アイヌ文化知的所有権研究会」からアドバイスを受けた。札幌刑務所や帯広刑務所などでは、道内産のシラカバやカラマツを使った家具の生産が盛んだ。

 札幌矯正管区によると、北海道は産業全体に占める製造業の割合が低いため、地元業者からの業務受注も比較的少ない。その分、独自製品の開発が進むきっかけになっている。売り上げのうち国に入る金額でみると、13〜17年の年平均で、製品全体の中で独自製品が占める割合は全国4・3%に対し、道内10・5%と2倍以上にのぼる。

 刑務作業には、健康を維持したり働く意欲を養ったりすることで更生を促す目的がある。その意味で、山崎さんには忘れられない出来事がある。

 約10年前、関西の少年刑務所で刑務作業に関する事務などを担当していたときのことだ。木製の置物などを作る工場を見て回った際、20代前半の男性受刑者に声をかけた。「すごい物作ってるね。消費者の評判も良かったよ」。男性はうれしそうに「頑張ります」と答えた。うまく作れた製品を見せに来てくれたこともあったという。

 山崎さんは言う。「買った人の感想を伝えてあげることで、生きがいや達成感を得ることができる。製品を通じて、受刑者は社会とのつながりを持てるのだと思う」

 (布田一樹)

    ◇

 法務省によると、昨年9月時点で、全国76カ所の刑務所などで約4万2千人の受刑者が刑務作業に従事。製品の売り上げの一部は、犯罪被害者を支援する団体の助成にあてられている。道内では、一部を除いた刑務所に併設されている常設展示場のほか、即売会などでも製品を販売している。道内の即売会の開催などに関する問い合わせは、札幌矯正管区(011・783・3911)へ。

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