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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

人の命と健康守る、重い役割 大日向輝美

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

 ●札幌医大保健医療学部長・大日向輝美

 3月も半ばを過ぎ、そろそろ進路選択を迫られている高校生も多いと思う。看護職を考えている人もいるだろう。

 昨年ある高校を訪問した際に、一人の生徒から相談があった。彼女は「人の役に立ちたい」という動機で看護職を志している。両親は「手に職が付く」と娘の選択を喜んでいるが、周囲からは、「きつくて汚い仕事」なのに「えらい!」とか「すごい!」などとたびたび言われる。何とも妙な激励や感心に違和感を覚えるし、「きつくて汚い」という言い方も気になる。

 私が高校生だった40年前も、看護職は3K(キツイ、キタナイ、キケン)の仕事と言われていた。看護学が発展し、大学での看護職養成が進んでも、職業イメージはそれほど変わっていないようだ。

 私の答えはこうだ。

 一つ目。看護の仕事は「キツイ」のか?

 看護師はあらゆる年代の人たちの生老病死に向き合う。苦しむ人に関わるのはつらく、最期をみとるのは悲しい。夜勤は疲れるし、いつも忙しい。しかし、看護には他の職業にはないものがある。

 生死に関わる現場で命の尊さを知る、病を得ても懸命に生きる姿に人間の強さを見る、人の生き方の深い思いに触れる……。万人にとって避けられない生老病死、看護職はそこにまつわる喜怒哀楽を患者や家族と分かち合い、人生の意味や希望を見いだしていく過程を共にする。

 看護とは相手の喜びが自分の喜びとなる営みなのである。そうした日々の活動を通して、人としての成長の糧を得られるのが看護職だ。

 もう一つ。看護の仕事は「キタナイ」のか?

 このイメージは、おそらく排泄(はいせつ)物と結び付いている。体内から出た物質を汚いと感じるのは当然の感覚だ。だが、多くの看護職はそれらを「汚い」とは捉えていない。

 排泄物はその人の健康状態を示す重要な手がかりであり、排泄は生命維持に直結する根本的な生理機能だ。また排泄援助は人間の尊厳に関わり、専門的な対応が必要とされる難しい行為である。誰もができることではない。看護職は排泄への介入が許される職業なのだ。

 看護の仕事はキツイ。資格を得るまでの勉強量も多い。他分野に比べて、大学時代も忙しい。しかし、人の命と健康を守る看護の役割は重く、社会はこの仕事を必要としている。私は、無限大の可能性を有する、かけがえのない仕事であると思っている。

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