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2019統一地方選【ニュース】
知事選 候補者の横顔
知事選(4月7日投開票)は、いずれも無所属で新顔の石川知裕氏(45)=立憲、国民、共産、自由、社民推薦=と鈴木直道氏(38)=自民、公明、新党大地推薦=の一騎打ちとなった。2人の横顔を紹介する。
(届け出順)
■「地域元気にする」が原点 石川知裕氏(45)
「決断」を12回、「戦う」を9回。知事選がスタートした21日、胆振、日高、十勝の街頭演説中にそれぞれの単語を発した回数だ。この二つの言葉は、波乱の政治家人生を象徴している。
1月中旬、立憲民主党や国民民主党などから知事選への立候補を打診された。地元の足寄町の同級生からは町長選への出馬を望む声があり、国政への思いもあった。「ずいぶん悩んだが、自分の原点は地域を元気にすることだ」。北海道のかじ取り役をめざしたいという思いが募り、知事選への挑戦を決断した。
ふるさとの足寄は、自身が生まれたころと比べ人口が半減した。「地域が元気にならなければ、国全体が元気にならない」。10代後半、そんな思いを形にしようと、政治家を志した。
早稲田大学に在学中の22歳のとき、のちに民主党代表となる小沢一郎衆院議員の著書「日本改造計画」(1993年)に感銘を受け、小沢氏の事務所の「書生」となった。以来約10年にわたり秘書を務めた。
自著「雑巾がけ」(2012年)で小沢氏に言及するなかで「リーダーはどこかの時点で、反対勢力に批判を浴びることを承知しながら、見切り発車をするしかない」と記している。めざす知事像の「決断できるリーダー」と重なる。
05年の衆院選に落選したが、07年に繰り上げで初当選。選挙区は北海道11区で、故・中川昭一氏(自民)の盤石な地盤。周囲からは「絶対に勝てない」と言われたが「風は自分で起こすもの」と戦いを挑み、09年の衆院選で勝利した。農業など一次産業の政策通として議員生活を送った。
しかし、小沢氏の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で10年1月に逮捕され、13年5月に議員辞職した。支援者の中には有罪判決を受け入れ、早く政界復帰をめざすべきだとの声もあった。しかし「受け入れれば罪を認めたことになる」。子どもに「父さんは間違ったことをしていない」と伝えたい。最後まで戦った。
「私はこれまで若干、苦労知らずだった。大きくつまずいて成長できた」
最高裁まで争い有罪となったことで17年の衆院選立候補はかなわなかったが、代わりに妻の香織さんが当選した。積極的に子育てに関わるようになり「私はイクメン。妻からは、まだまだと言われそうですが」。
長男は5歳、長女は3歳になった。選挙で会える機会は少ないが、テレビ電話で「パパ、パパ、あれ買って」と言われることが一番の癒やしだ。
(伊沢健司)
■夕張での経験を出発点に 鈴木直道氏(38)
それは2008年に始まった。26歳のとき、財政破綻(はたん)した夕張市を応援しようと、東京都職員のまま都庁から夕張市に派遣された。
そこで目撃したのは、財政難にあえぐ限界自治体の姿だった。350億円の借金を返すために職員は減らされ、夕方には庁舎の暖房が切れた。間引かれた照明の下、ダウンジャケット姿で残業した。行政サービスは次々に打ち切られた。
「こんな理不尽があるのか」。零下の外気よりも寒々とした市役所の風景に衝撃を受けた。「政治家、鈴木直道」の原点だ。
政治家になるつもりはなかった。両親が離婚し、高校卒業後、経済的な事情で進学をあきらめ、都職員になった。仕事をしながら、自分の力で大学に通った。いずれは結婚して、マイホームを――そんな安定した未来を描いていた。
だが、人生が変わった。
「全国最低の行政サービス」と「全国最高の住民負担」が直撃する市民。やり場のない怒りをぶつけられる市の職員たち。「よそ者」だが、放っておけなくなった。
3年後、市内の若者に背中を押され、夕張市長選に立候補。自民、公明など与党が支援する前衆院議員などを破って初当選した。30歳の市長就任は当時の最年少。月給はわずか25万9千円、手取りは20万円を切っていた。妻の麻奈美さんの収入を頼った。
破綻した夕張市の予算編成は総務省の「管理下」に置かれている。そんな状況を前向きに変えようと模索するなかで、菅義偉元総務相(現官房長官)と出会った。偶然にも同じ法政大学の卒業生だとわかり、距離がぐっと縮まった。17年、首相官邸の後押しもあり、26年度までに借金を完済するめどもついた。
2月1日、「夕張は再建しつつあるが、北海道の財政状況は全国で最も悪い。夕張での経験を生かして逆境に挑戦したい」と知事選への立候補を表明した。
テーマカラーは青。出馬会見でも身につけた「勝負ネクタイ」は青地に1本赤いラインが入っている。「直道」の名前の通り、まっすぐ突き進むという意味が込められている。大切な支援者からの贈り物だが「使いすぎて、よれてきちゃいました」。
学生時代はボクシング部の主将を務めた。ガードが苦手で、よくパンチを浴びたが、「どれほど殴られても倒れなかった」。
麻奈美さんとシバイヌのマメと暮らす。最近、多忙でほとんど家に帰れず、たまに帰ると警戒した愛犬からほえられるのが不満。
(今泉奏)
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