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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

診断難しい鉄欠乏、予防が大切 高橋豊

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

 ●KKR札幌医療センター・小児科特任部長 高橋豊

 「鉄欠乏」は、世界で最も多い栄養障害だ。2008年の世界保健機関(WHO)の報告では、5歳以下の子どもの47・5%に鉄欠乏性貧血が確認された。我が国も例外ではない。ある県の9〜10カ月児の調査では、母乳栄養児の33%、粉ミルクなど人工栄養児の18%で見つかった。

 乳幼児の鉄欠乏性貧血のほとんどは無症状で、偶然発見されることが多い。実際に診療していると、1歳前後の子どもの気管支炎や胃腸炎などの感染症、あるいは食物アレルギーなどの採血検査の際に見つかってくる。顔色が白いといった貧血の所見があった場合は、既に中等症以上であることが多い。

 妊娠37週以降の「満期」で生まれた子どもは、母体から移行した鉄分があるため、乳児早期に鉄欠乏となることは少ない。しかしその後は、母乳は鉄含有量が少なく、また人工乳も母乳に比べて多いものの吸収率が低いため、いずれも鉄の摂取量は不十分になる。離乳食などで適切に補充されなければ6カ月を過ぎると鉄欠乏に陥りやすく、9カ月以降に貧血が出現する。

 鉄は神経伝達物質の生成に関与することが明らかになっており、鉄欠乏により中枢神経系の成熟が妨げられる可能性が指摘されている。1〜2歳の時点で鉄欠乏性貧血だった子どもは、5歳で貧血がなかった子どもに比べると発達が遅れ、さらに11〜14歳時点での知能指数が低かったとする報告もある。米国小児科学会は、母乳栄養児に関しては生後4カ月から鉄剤を補充することを推奨しており、欧米では鉄分を強化した離乳食が豊富に用意されている。

 鉄欠乏性貧血と診断したら鉄剤をのんでもらう。1カ月で改善することが多いが、体内に十分蓄積されるまで2〜3カ月間継続する。治療を始めて24時間以内に「食欲不振」やわずかな刺激でも泣いてしまう「易刺激性」が改善することがあり、鉄欠乏がこれらの症状に関わっていることがわかる。「泣き入りひきつけ」をおこす子どもには鉄欠乏性貧血が多く、鉄剤によって発作が改善する。

 症状から診断が難しく、精神や運動能力の発達に影響する可能性があることから、鉄欠乏性貧血は予防が重要となる。特に母乳栄養児は、月齢に応じて赤身の魚や肉、レバー、卵、大豆、貝類などを取り入れ、鉄剤を強化したベビーフードを利用するとよい。牛乳は鉄分が少ないので、過剰に飲んで食事摂取量が少ない場合には制限も必要だ。 

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