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金曜「ライフ・楽しむ」【わたし色】

豊かな人材、多様化した… 美馬のゆり

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 ■豊かな人材、多様化した「周辺」から

 ●公立はこだて未来大教授・美馬のゆりさん

 先日恩師の米寿を祝う会に出席しました。集まった教え子たちは、上は還暦を超えた人から下は現役高校生まで100人近く。多くは大学などの研究者でしたが、IT企業勤務のほか医師や起業家など様々です。共通しているのは、みな数理科学、特に数学が好きだということ。

 この同窓生とは、1980年に数学者の広中平祐氏が始めた「数理の翼セミナー」の出身者です。毎夏、数理科学に興味を持つ高校生から大学生を全国から数十人招待し、数日間合宿型セミナーを行うというもの。今年で40回目を迎えるセミナーの同窓生は、いまでは千数百人近くなります。私はその1期生です。

  □  ■  □

 セミナーの講師は大学教授や中にはノーベル賞受賞者も。講義はもちろん興味深いものでしたが、全国から集まった参加者がすごいのです。学年の違いにかかわりなく、数学や物理、生物、コンピューターなど専門性の高い話を、夜遅くまで議論します。その居心地のよさ、刺激的な内容に、帰宅後数日間、興奮が冷めなかったことを今でも覚えています。

 当時日本の学校教育では、落ちこぼれをなくすということには目が向けられていましたが、「浮きこぼれ」には無関心のようでした。このセミナーを始めようと、寄付集めをしていた時も「エリート教育」は差別的だと批判する人もいたそうです。音楽が好き、スポーツが得意ということと同じはずなのに。

  □  ■  □

 なにごとも長く続けることで、その成果が見えてくることがあります。それを続けるかどうかは、まずは始める人がどれくらいの経験、信念を持っているか。そこに賛同し、支援する人がどれだけいるか。そしてそれを経験した人が、確かに意味のある活動だと感じ、次に続くよう関わっていくかどうか。

 現在セミナーは有志で運営し、スタッフや講師の中には同窓生も多くいます。面白いのはその活躍している分野。高校生の時に数理科学が好きな人として集めると、その先は色々な方面へ広がります。中には折り紙作家や弁護士になった人も。今でも職業や年齢に関係なく、同窓生として議論ができるから不思議です。

 フランスの数学界では、面白い発想や理論は地方の大学から出てくるそうです。それがあるとき日の目を見ると、パリ大学に呼ばれ、さらに多くの人たちに影響を与えていく。常に周辺を多様にしておくことが大事ということです。私はそれを「周辺多様化理論」と勝手に名付け、今でもその「理論」を肝に銘じて生きています。

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