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金曜「ライフ・楽しむ」【わたし色】

着物がつなぐ、人がつながる 美馬のゆり

写真: 拡大

 ●公立はこだて未来大教授・美馬のゆりさん

 毎年8月後半の9日間は、「はこだて国際科学祭」を仲間とともに開催しています。今年で11年目。子どもから大人まで、素人から専門家までを対象に、約40のイベントがあり、今年も多くの方にご参加いただきました。市民による市民のための市民とともに行う祭典です。

 そのオープニングのイベントにはこの数年、着物で出ることにしています。恥ずかしながら、私は着物を自分で着ることができません。帯をきっちり、カッコよく結ぶことができないのです。そこで、ボランティアで着付けをしてくださる女性たちにお願いすることにしました。

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 それには、10年ほど前のある出会いが関わっています。函館では年に2回、「バル街」という飲み食べ歩きのイベントが開かれます。会場は伝統的建造物が多く残る西部地区。それに合わせて「きものdeバル」があります。これは、「かつての日本人にとって普段着だった着物を、街で楽しむお手伝いをします。着物を着て参加しませんか」というものです。

 函館の古い町並みに着物姿の女性がそぞろ歩きしている姿を想像してみてください。若い人から年配の方まで、なんと素敵なことでしょう。私も伯母から譲り受けたまま、タンスに眠らせていた着物を持って「バル街」に参加しました。これがきっかけで年に数回、着物を着るようになったというわけです。

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 この活動を続けている女性たちは、着る人のいなくなった着物を引き取り、次に着る人を探す。そして着物にあまりなじみのない若い女性たちに、着方だけでなく、帯や帯締め、帯揚げなどの組み合わせまで提案し、1千円、2千円という廉価で譲るのです。「この着物はあなたを待っていたのかも」「めぐりあわせね」「着物もうれしそうよ」と言われると、確かに、と思えてくるから不思議です。

 着付けの最中には、着物にまつわる話、地域の昔話に花が咲きます。着る人も、着付ける人も、その歩く姿を見る人も、そして着物たちもうれしそうに見えてきます。

 最近、人の名前や言葉が出てこないことが増えてきた私。これって歳のせいかしら、いや、そもそも忘れっぽい性格で、それを歳のせいにしているだけかも、と落ち込んでいたところ、ふとまわりを見渡したら、着物に関わりながら、豊かに人生をおくる、先達の姿がありました。

 古き良きものが失われつつある時代に、みんなが楽しみ、つながっていく。そこには着物を媒介として、人や歴史、文化のつながりが見えてきます。

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