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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

歯磨きで災害関連死、防ごう 大日向輝美

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

 ●札幌医大保健医療学部長 大日向輝美

 北海道に甚大な被害をもたらした胆振東部地震から1年余り。これまでに44人が亡くなった。このうち災害関連死と認定されたのは3人。いずれも80代の高齢者だ。

 災害関連死とは、災害による負傷や避難生活による健康状態の悪化が原因で亡くなることを指す。熊本地震では地震による直接死者数を上回ったが、その大半が70歳以上の高齢者だった。

 被災した人たちは誰もが健康リスクを抱えるが、心身の機能が衰えている高齢者の場合、影響が顕著に現れる。住み慣れた地域での日常が突然奪われ、健康を支えていた日々の暮らしは一変する。災害で受けた精神的打撃もじわじわと健康をむしばむ。高齢になるほど健康問題を抱えている人も多くなるから、避難生活によるストレスや制限によって、健康状態は容易に悪化してしまう。

 避難生活を送る高齢者の問題として重視すべきものに、誤嚥(ごえん)性肺炎がある。口内の細菌が唾液(だえき)と一緒に気管に流れ込み、肺の中で増殖して起こる炎症である。気管に入った異物を反射的に外に押し出す力の低下が関係している。抗菌作用を有する唾液の分泌量が減少し、口内の衛生が保ちづらくなっているのも原因の一つにあげられる。

 特に避難所では、水が十分に使えないため、歯磨きや入れ歯の手入れを怠りがちになる。トイレに行く回数を減らそうと、水分や食事の摂取量を加減する人も多い。それによって口内の細菌は急激に増え、誤嚥性肺炎の危険性はさらに高まっていく。

 東日本大震災では、地震発生から1〜2週間後に多くの人が肺炎で亡くなった。口内細菌はわずかな期間で致命的な状態を引き起こしてしまうのだ。高齢者の命を守るためには、口内を清潔に保つことが極めて重要である。

 歯磨き粉は無くても、ブラシがあれば歯磨きはできる。歯ブラシが無いときは、食後に少量の水やお茶でブクブクうがいをする。量は30cc程度で十分だ。ハンカチやティッシュを指に巻いて歯の汚れを取り除くのも効果的。液体歯磨きですすぐのもよい。夜は入れ歯を外し、食後には汚れを除去する。口が乾いている時は頬やあごの下を親指で押したりもんだりすると、唾液の分泌を促すことができる。

 高齢者に対する災害直後からの口腔(こうくう)ケアが、災害関連死を防ぐ鍵といえる。看護職は口腔衛生の専門家とともに、「健口」を促す支援を実践したい。

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