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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

看護師を悩ます「多重課題」 大日向輝美

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

 ●札幌医大保健医療学部長 大日向輝美

 看護師4人で50人の患者をケアする、16時からの準夜勤務。A氏の点滴ボトルの交換中、歩行介助の必要なB氏から予期せず「トイレに行きたい」と声が掛かる。トイレ誘導の予定時刻より早めに尿意を催したようだ。ボトル交換を終えてB氏の歩行準備を始めたところ、C氏の心拍異常を示す心電図モニターの警報音が鳴り始めた。B氏を待たせてC氏の状態確認をしていると、B氏からは「我慢できない」との訴えが……。

 私が現場の看護師をしていたのは、随分昔のこと。しかし、いまだにこんな新人時代の夢を見る。夢の中の私は判断に迷い、焦っている。

 看護師の仕事の大半は、同時遂行が必要な二つ以上の業務課題を抱える「多重課題」への対応だ。同時刻に処置が重なる、複数のナースコールが同時に鳴る、一つの業務中に別の業務が入り込む……等々。特に勤務者が少なくなる夜勤帯に増加し、負担は強くなる。医療現場の多忙さは多重課題によって生じている。

 病気も重症度も年齢も異なる患者が療養生活を送る医療現場で、多重課題が発生するのは必然だ。看護師は、その時々の状況で優先順位を判断し、業務を遂行する。いくつもの課題を同時に抱えていても、適切な判断に的確な対応が求められるのは役割上当然といえる。だが、新人は言うに及ばず、経験豊富な看護師も苦慮しているのが実情だ。

 多重課題には、予定の業務が同時刻に集中する予期可能なものと、予定外の業務が入り込む予期不可能なものがある。特に後者の場合、切迫した状況下で何を優先し、どう行動すべきか判断するのは容易ではない。じっくり考える暇は無く、迅速に行動を起こさなければならない。そんな状況ゆえ多重課題場面では事故の発生リスクが高くなる。新人看護師に至っては、リアリティーショック(理想と現実の差に衝撃を受けること)や自信喪失につながり、早期離職の要因にもなっている。

 始業前に患者情報を収集して行動計画を立てる・処置時間を調整し早めの行動を心掛ける・患者の行動パターンを踏まえた先取りケアを行う・予定外業務の発生を予測し未然防止に努める……など、看護師は様々な多重課題対策を講じている。しかし、個人での取り組みには限界がある。

 患者の安全を守り若い看護師を挫折させないためにも、組織による対策は不可欠だ。看護師たちが悪い夢から解放される日が、一日も早く訪れるよう願ってやまない。

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