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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

看護師の観察、直観で患者守る 大日向輝美

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

●札幌医大保健医療学部長 大日向輝美

 看護師は定期的に、あるいは必要に応じて患者の脈拍・血圧・体温を測る。呼吸音や腸音を聴診器で聞き、眼球に光を当て瞳孔を確認する。苦痛部位を確かめ、食欲の有無や排泄(はいせつ)の状態を聞き取る。皮膚に触れてむくみを調べ、傷口からにじみ出た体液のにおいを嗅いだりもする。

 これらは全て「観察」と呼ばれる看護行為だ。看護師は見る・聞く・触れる・嗅ぐなど、五感を通して患者の状態を把握する。

 医師が行う「診察」と似たところもあるが、目的は異なる。診察は患者の状態を判断し、診断を下して治療方針を決定するためのもの。一方、観察の目的は次の三つだ。一つ目は、生命に直結する危険や異常をいち早く察知し、迅速な対応を行うため。二つ目は、患者の状態に適した看護行為を判断し、ケアの優先性を決定するため。三つ目は、看護行為の効果を評価し、よりよい看護につなげるため。

 一般に観察とは事物を注意深く見極め、ありのままの姿を知ろうとすることを言う。看護師の観察も、患者を詳しく知るために行われる。

 看護師は常に患者と環境を観察している。患者の病気に関わる症状(本人にしか分からない不調感)や徴候(ちょうこう)(聴診器で聞く・顔色や表情を見るなど他者によって確認されるもの)をみるだけでなく、苦痛を増幅させたり安全を損ねたりするものがないか、療養環境にも目を配る。

 そうした日常の中、症状や徴候に変化がないにもかかわらず「何か変」と察知した看護師が、患者に対する心配や懸念を表明することがある。従来、それらは根拠に欠ける感覚に過ぎないとして重視されない傾向にあった。「変」の理由が明確でないため、治療に結びつかない場合も多いからだ。だが大抵の場合、後に生じる患者の状態変化によって、看護師の直観の正しさは証明されることになる。

 海外の研究では、看護師の直観が不測の事態や急変の予測に貢献することが示されている。看護師は患者のわずかな変化を察知し、リスクを予測していると考えられる。患者の身近にいる看護師ゆえの「特殊能力」と言えようか。我が国でも、転倒予測に関する看護師の直観を科学的に解明し、予防に役立てようとする動きが本格化している。

 いずれにせよ、不断の観察行動が看護師に優れた直観をもたらし、適切な対応を取らせるのは確かだ。「看護は観察で始まり、観察に終わる」と言われるゆえんである。

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