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各支局の話題【はりま歴史探訪】

成長を導いた改革家老 寸翁神社

写真:木立に囲まれた寸翁神社=姫路市本町 拡大木立に囲まれた寸翁神社=姫路市本町

写真:寸翁神社の河合寸翁像=姫路市本町 拡大寸翁神社の河合寸翁像=姫路市本町

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 江戸期の姫路の名産「姫路木綿」を復活させるプロジェクトが本格始動している。姫路市夢前町の休耕田約1千平方メートルに有志らが今春、綿を作付けし、12月までに収穫。ストールなどに商品化し、販売する。市の支援で地方創生交付金の配分も今秋決まった。

 姫路木綿は「姫玉」「玉川晒(さらし)」と呼ばれ、江戸で人気を得た。財政難に苦しむ姫路藩の改革の中心となった江戸後期の家老河合寸翁(すん・のう)(1767〜1841)が専売制と流通経路を確立させた。藍染めの雑貨などを販売する傍ら、プロジェクトを進める地元の棉屋(わた・や)経営、澤田善弘さんは「寸翁さんを知るほどにノウハウや頑張りに触発される」と話す。

 寸翁の道のりは皮革などの特産化、新田開発、人材育成のための仁寿山校創立など多彩だ。茶道に通じ、姫路の銘菓・玉椿(たま・つばき)の命名でも知られる。その寸翁を産業の守護神として1957年に建てられたのが、寸翁神社だ。姫路城内の北東に位置する姫路神社境内にあり、財界人らの協力で建てられた。

 そばの寸翁像は故・三宅具哉・姫路信用金庫会長を世話人代表として90年に建立。協力した市文化財保護協会副会長小林一夫さんによると、肖像画を元に造られた。台座正面には「無心帰大道」の文字が刻まれ、小林さんは「私心のない人は道を貫くことができる、という意味」と解説する。

 姫路市史や史料「新御積訳書(しん・お・つもり・わけ・がき)」などによると、改革着手当時の藩借金は15万石の財政力を超える62万余両、73万余両ともいわれる。1808年に藩主酒井忠道(ただ・ひろ)は先代忠以(ただ・ざね)の薫陶を受けた寸翁に施策を一任、有力官僚、商人が協力した。

 寸翁研究で知られる市立好古学園大学校史学科講師の藤原龍雄さんはその過程を大別し、「2段階改革」と分析する。第1段階で生業資金の貸与や非常用食料備蓄倉庫「固寧倉(こ・ねい・そう)」、積銀(つみ・ぎん)講などによる民生安定を図った。藩札を発行する切手会所などの金融改革と姫路木綿のセットを改革本番と位置付ける。「倹約などにとどまらず、成長戦略の成功例」と指摘し、「まさに経世済民の人。明治・大正期に活躍した実業家渋沢栄一に匹敵するのでは」と見る。

 顕彰は作家寺林峻さんの著作などを機に近年、熱を帯びる。三宅知行・姫路商工会議所会頭が会長に就く顕彰会が2012年に発足し、会議所青年部OBでつくる寸翁クラブは法要を営む。クラブ員で自営業の新福杉夫さんは「寸翁さんの経済活動の先見性は現代でも学べる点が多い。境内で彼のバイタリティーなどに思いをはせてほしい」と願う。

(藤井匠)

■ アクセス 神姫バスの「姫山公園南」で下車し、徒歩約5分。JR姫路駅から徒歩約20分。近くに姫山駐車場がある。

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