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私のこだわり【相撲 井上秀樹記者】

7:「輪島」を訪ねて

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写真:母校に寄贈した土俵で子どもたちと相撲に興じる輪島(左)。奥は貴ノ花=1972年、七尾市立石崎小学校提供 拡大母校に寄贈した土俵で子どもたちと相撲に興じる輪島(左)。奥は貴ノ花=1972年、七尾市立石崎小学校提供

写真:輪島大士の実家がある通り=七尾市石崎町 拡大輪島大士の実家がある通り=七尾市石崎町

◆見逃せぬ郷土への貢献◆

 プロスポーツで活躍し、あだ名は「ゴジラ」。といっても、バイクのCMに出ている人ではない。第54代横綱、輪島大士(ひろし)(67)のことだ。

 出身地の七尾市石崎町を訪ねた。七尾湾に面した漁師町で、エビやナマコの揚がる石崎漁港は、輪島の実家から歩いて2分ほど。内浦の波はとても穏やかだ。

 おかしい。私が読んだ相撲本では「日本海の荒波に洗われる土地柄」とあったが……。東京の相撲ライターが、松本清張の小説よろしく「日本海=波が荒い」と思い込んで書いたようだ。現場に行かないと、とんだ失敗をする。教訓にしたい。

 実家は床屋だった。民家がひしめくが、高齢化で人の気配はやや乏しい。近所に住む女性は、現役時代の輪島宅を「みんな酒持ってきてお祝いしたね。にぎわしかった」と懐かしむ。

 大人に殴られても泣かないほど強いガキ大将だった。将来は有名になるつもりでサインの練習をしていた話が有名だ。大相撲でも本名で通したのはそのせいだった、との説も。

 上手を取れば十分な形になる力士がほとんどの中、左下手を取ると力を発揮する特異な取り口は「黄金の左」と呼ばれた。初土俵から3年半で横綱に昇進、先日亡くなった横綱北の湖と名勝負を演じ、幕内優勝14回はいまも昭和以降で歴代7位に入る。

 その成功が強烈すぎるのか、県出身の有望力士はほとんどが先輩同様に大学を経て角界入りする。その分、盛りの時期も短くて残念だが。

 派手な私生活に加え、親方株を借金の抵当にしたかどで大相撲界を去ったことを、地元では快く思っていない人もいるという。とはいえ、この連載で取材した県内の相撲名所のほとんどに、現役時代の輪島が訪れている。母校に土俵を寄贈するなど、郷土に大きく貢献したことも見逃せない。

 和倉温泉の旅館「加賀屋」相談役の小田禎彦さん(75)は、子どもの頃から付き合いがある。プロレスラーにアメフトの監督にテレビタレントと職を転々とした輪島は「細かいことを気にせず、いい方に考える」性格らしい。毎年8月の第1土曜日にある石崎奉燈祭では、帰省しては奉燈をかつぐという。

 小田さんは「相撲王国能登と横綱輪島」といった形で、能登半島出身力士と輪島の優勝額やトロフィーなどの常設展示をめざしている。相撲史に残る力士にふさわしい顕彰を、と望むのはおせっかいだろうか。

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