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明治維新150周年【いざなう維新】

サツマ編1 鹿児島から苗 米国で大ブーム

写真:1925年11月、米アラバマ州の作業場での「サツマ」の箱詰め。箱に「SATSUMAS」と書かれている=オーバーン大提供 拡大1925年11月、米アラバマ州の作業場での「サツマ」の箱詰め。箱に「SATSUMAS」と書かれている=オーバーン大提供

写真:米アラバマ州南部の「サツマ市」のホームページ 拡大米アラバマ州南部の「サツマ市」のホームページ

 英語に「satsuma(サツマ)」という単語がある。英語辞典に載っているその意味は、「ミカン」。国内で有名な産地である和歌山県や愛媛県などではなく、なぜ「薩摩」なのか。その歴史を探ってみると――。

 記者が学生時代に訪れていた米フロリダ州で、民家の庭にミカンの木が植えられていた。「サツマの木」だと、ホストファミリーが教えてくれた。

 オックスフォード英語辞典で「satsuma」を引いてみると、「小さなミカン」とあり、「1876年に初めて米国に紹介された」と書かれている。日本は時代が明治に移り、鹿児島では翌年に西南戦争が起きるころだ。

 さらに文献を調べてみると、1878年に米国人のバン・バルケンバーグ氏が温州ミカンを米国に持ち込み、彼もしくは妻が「サツマ」と名付けたとあった。果樹に詳しい鹿児島大農学部の山本雅史教授(54)によると、苗木が鹿児島のものだったことで「サツマ」と名付けられたという説と、「明治維新で活躍した国」にちなんだという説があるという。

 米国大使館に問い合わせたところ、ロバート・ブルース・バン・バルケンバーグという人物は1867〜69年に在籍していた。離日後は米フロリダ州に移住したそうだが、米国にミカンが伝わった背景に関する当時の資料は残されていなかったという。

 米国に渡った「サツマ」はその後、米南部のルイジアナ州からフロリダ州北部にかけてのメキシコ湾沿いで、広く栽培されるようになった。

 地名にもなるほど根付いた。アラバマ州モービル郡には、人口6千人ほどの「サツマ市」がある。市のウェブサイトによると、1878年に「サツマ」がアラバマに紹介され、1915年に街の名前をサツマにしたと紹介している。

 米南部でのかんきつ類栽培の歴史をまとめた論文を、アラバマ州立オーバーン大のジェームス・スピアーズ准教授(41)が2016年に発表している。

 スピアーズさんによると、サツマは冷涼な地域でも栽培できたほか、手で皮をむいてそのまま食べられることで一気に人気が広がり、20世紀初頭には「サツマブーム」が到来。1908〜11年には日本から100万本の木を輸入し、ニューヨークやシカゴなどの大都市にも出荷されていたという。

 しかし、その後の冷害やハリケーンによって一気に衰退。アラバマ州では現在、約1平方キロでしか栽培されていないとみられる。

 このままサツマは米国の地から消滅してしまうのだろうか。スピアーズさんは「サツマは湾岸の地場産業として続いていくと信じている」と言い切る。

 「大きな産業としては持続可能ではないかもしれないが、地元販売なら持ちこたえられるだろう。なぜなら、サツマを知っている人には人気の果物だからね」

     ◇

 幕末・明治と現在を結ぶ人やものを描く連載「いざなう維新」。今回は番外編として、ミカンと薩摩の歴史を探ります。

(斉藤明美)

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