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企画特集 2【子どもを支える】

施設出身者へ 「自立」応援

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写真:一昨年に結婚した妻と歩く田山さん。経済的には今も余裕はないが、やりがいを得て働く喜びがあるという=横浜市 拡大一昨年に結婚した妻と歩く田山さん。経済的には今も余裕はないが、やりがいを得て働く喜びがあるという=横浜市

 家庭の貧困、親の精神的問題や虐待……。そんな事情を抱えた子どもたちが親元を離れて暮らす児童養護施設などは、原則として18歳未満が対象だ。多くの子どもは高校を卒業すると同時に「自立」を目指す。その第1ステップの就職を支援し、彼らを支える取り組みが始まっている。

 学校に来る求人票の中から選ぶことの多い高校生の就職活動。金銭的な余裕や困った時に帰れる実家がない施設の若者の場合、自分の適性や興味よりも収入や「住み込み」「寮付き」などの条件を重視しがちで、ミスマッチが起こりやすいという。

 加えて家族のような頼れる相手が身近にいないことで、退職後、自分は社会に適応できないと思い込んだり、当座の生活のためにバイト生活から抜け出せなくなったりするケースも見られるという。

 児童養護施設出身者を対象にした2013年2月の厚生労働省の調査では、高校3年生(定時制4年生を含む)の67%がアルバイト経験があると答えるなど、働く意識は高い一方、退所して就職後、短期間で辞めてしまうケースも目立つ。

 こうしたミスマッチをなくそうと11年に設立されたのが株式会社フェアスタート(横浜市中区)。施設出身者に理解がある数十社と協力し、若者一人ひとりと面談して適性を探ったうえで、見学や就労体験を経て就職につなげる。就職後の若者の交流会などのフォローも行う。神奈川、東京を中心に65施設の依頼を受け、毎年15人ほどが就職・転職を実現。定着率は約8割と高い。

 「苦労してきたからこそ働くことの重要性を知っている。彼らを起用しないのは社会の損失」と社長の永岡鉄平さん(34)。

 行政も、施設出身の若者への支援に力を入れ始めている。国は10年から、退所者らの相談受付・就労支援や交流の場づくりを目指す「アフターケア事業」への補助を開始。県内にも「あすなろサポートステーション」(藤沢市)や「よこはまPort For」(横浜市西区)ができた。

 生活基盤を安定させる政策も始まる。資格取得の費用や退所後の家賃を貸し付けたり一定の期間勤めた場合に返済を免除したりするため、国は今年度補正予算で67億円を計上した。

 「住まいの維持や資格取得を助けることで、条件ばかりを気にして就活しなくてすむ。自力で人生を切り開く若者たちを社会全体で応援していく機運をさらに高めていきたい」と永岡さんは話す。

■余裕なし、まずは「収入」 夜間バイト中心…転職活動できず

 「ぎりぎりのラインしか稼げなくて、常に追われている。何のために働いているんだろうと思うこともあった」。横浜市の田山哲生さん(24)は、今の職に就くまでをそう振り返る。

 小さい時から母と二人暮らし。仕事も家事もしっかりやる母だったが、中学進学後、過労で体調を崩す。母の変わりように、自身も不登校になった。

 中3の時、施設に入所。定時制高校に進学後、再び母と暮らし始めたが、運転免許の資金や将来の貯蓄にとバイトに明け暮れた。学校が終わると新聞の朝刊を配り、朝6時ごろからはコンビニでバイト。昼間眠ってまた学校へ。

 「バイトをつないで余裕がなかったから、とにかく収入がある仕事に就きたかった」。卒業時、運送会社に就職したが、想像以上の忙しさに1年半ほどで退職した。正社員で働く意欲は強かったが、ハローワークに通って面接を受ける期間も家賃や生活費の支払いに迫られた。居酒屋、新聞配達……。時給のよい夜間のバイトに偏り、転職活動に割く時間がなくなった。

 そんな時、以前いた施設の職員がフェアスタートを紹介してくれた。「実になる、成長できる仕事」「お客さんと接する仕事」。自分の中の希望を引き出してもらい、退職から約1年後に住宅建築会社に就職。客に満足してもらいたいと頑張れるし、実務経験を積めば、資格も目指せる。

 施設時代の友人には、お金をためるために寮付きの仕事だけを渡り歩く人もいた。「生活するのに余裕がないと、やりがいや適性を考える発想も起きない。同じ状況の人のためにも、よりよい仕組みの重要性を伝えていきたい」

(木下こゆる)

     ◇

 置かれた環境ゆえ、不本意な形で働かざるを得なかったり、十分な教育を受けられなかったりする子どもがいる。日本の子どもの6人に1人が「貧困」とされる時代。県内の子どもの現状や支援の動きを伝える。

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