メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

10月20日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

企画特集 2【子どもを支える】

ハマ弁、一部に無償提供へ

写真: 拡大

写真:横浜型配達弁当の名称募集時に市が作ったチラシ。「横浜弁当革命」とPRしている 拡大横浜型配達弁当の名称募集時に市が作ったチラシ。「横浜弁当革命」とPRしている

 来年度、横浜市立中で導入される「横浜型配達弁当(ハマ弁)」が、家から弁当を持ってこられないなど昼食の確保が困難な生徒に無償で提供される見込みとなった。給食がなく、弁当が基本の同市立中では、様々な事情できちんとした昼食をとれない生徒がいた。こうした生徒の支援が目的だが、「線引き」などが課題になっている。

◇不公平感解消へ指針

 市は、市立中の昼食は家庭弁当を基本とし、持参できない場合は業者弁当を買ってもらうといった対応を取ってきた。だが、冷たくなったり栄養バランスが悪かったりする場合があるため、選べるおかずに温かいご飯や汁物を組み合わせることができる予約制のハマ弁の導入を決定。従来通り家庭弁当を柱としつつ、来年度中に全市立中で利用できるようにする。

 一方、給食がないことから、経済的な理由や育児放棄など様々な事情で生徒が昼食を抜きがちになるといった事例が、現場から報告されていた。就学援助などを受けている家庭でも、給食がないため、他の自治体のように給食費分の支援を受けられない同市ならではの課題もある。市はこうした状況を受け、ハマ弁の無償提供によって生徒を支援することにした。

 市教委健康教育課の担当者は「昼食をきちんと食べていない生徒には、これまで各学校が個別に対応していた。ハマ弁の仕組みを使い、今後は、それを公式に支援できるようにしていきたい」と話す。

 ただ、対象者の線引きが課題という。家計が苦しくてもきちんとした弁当を持たせる家庭がある一方、余裕があっても昼食の手当てをしない家庭があり、不公平感が生じないようにする必要がある。市は、誰を対象にするか基本的に各学校に判断してもらう方針で、ガイドラインの策定を進めている。

 岡田優子教育長は昨年10月の市議会で「それぞれいろいろな事情がありますので、しっかり事情をくみ取って必要なところにきちんと提供できるようにしていきたい」と述べた。

 一方、具体的な想定人数については「学校現場からの聞き取りによると、約1〜2%。800人から1600人ぐらいの間かな、と思う」と答弁した。

 市立中では現在、就学援助を受けている生徒だけで約1万3千人おり、「1万3千人、経済的に難しい家庭の子どもがいる中、非常に狭めている感じがする」(井上さくら市議)といった疑問の声も上がっている。

◇先生の弁当もらう/菓子パン1個持参・・・状況は様々 現場任せ

 給食のない横浜市立中。弁当を持ってこない生徒らへの対応は、これまで学校現場に任せてきたのが実情だ。「弁当を持ってこない子に自分の分を分けていたら、おかずがなくなって別の子にふりかけを分けてもらったこともある」。市中央部の学校に勤める男性教諭(50代)は言う。

 教諭によると、状況は学校や地域で大きく異なる。前任校とその前の学校では貧困が理由で弁当を持ってこないとみられるケースがあった。教諭は、生徒が自ら申告してきた場合、自分の弁当のふたを皿替わりにしてよく分けてあげたという。だが、そんな状況を言いたがらない生徒も。「黙って座っている生徒もいたし、具合が悪くなったと明らかなうそを言って保健室に行くケースもあった」

 別の学校の校長も、前任校で昼食が不十分な生徒が目立ったという。妻におにぎりを多めに用意してもらい、こうした生徒に分け与えたこともあった。「それが癖になってしまう子もいた。一時的ならいいが、恒久的になってしまうと、それは本来の指導と言えるのか」。悩みながらの対応だったという。

 市が2014年、10校の様子について校長らから聞き取った調査では▽母が別の男性の元に行き、中学生の兄が(小学生の妹らの)食事の用意。本人は弁当を持参せず、欠食がちに▽親が食事を作らず、兄が弟に朝食に与えたパンの残りを持参。弁当の中身は幅がある。菓子パン1個という生徒も、といった事例が報告された。

 17年末までに全市立中で完全給食を実施予定の川崎市では、給食費を徴収する一方、就学援助を受ける家庭などには給食費分の支援もしていくことになるという。議会で給食の実施を求めてきた古谷靖彦・横浜市議は「ハマ弁で支援するのであれば、就学援助を受けている家庭には無償で提供するなど、給食を実施している自治体と大差ないようにするべきだ」と話す。

■昼食の用意が困難な生徒の状況(例)

 保護者が朝まで帰宅せず、弁当の内容が貧弱であったり業者弁当を頼んだりする場合がある

     *

 母が別の男性の元に行き、中学生の兄が(小学生の妹らの)食事の用意。本人は弁当を持参せず、欠食がちに

     *

 生徒自身が作る家庭も多い。親が食事を作る意識が低い

     *

 内容が多様(貧弱)。「卵焼きだけ」「白飯だけに、ふりかけ」「食パン1斤に納豆」など

     *

 親が食事を作らず、兄が弟に朝食に与えたパンの残りを持参

     *

 両親不仲で両方不在の家庭。生徒本人が努力。時々、息切れで持参できず

 (横浜市立中10校の状況について、市による校長らへの聞き取り調査から)

(大西史晃)

PR情報

ここから広告です

横浜総局から

身近なニュース、教えてください。
身の回りの出来事、ニュースや記事へのご感想などをお寄せください。
【E-mail:kanagawa@asahi.com】
★ツイッターでの情報発信も始めました。
https://twitter.com/asahi_yokohama

朝日新聞 横浜総局 公式ツイッター

注目コンテンツ