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企画特集 2【迫る2025ショック】

在宅死 半数が「異常死」扱い

写真: 拡大

写真:リビングウィルの中身について妻と話し合う松本孝彦さん。「最期は自宅か施設で」と考えている=横浜市鶴見区 拡大リビングウィルの中身について妻と話し合う松本孝彦さん。「最期は自宅か施設で」と考えている=横浜市鶴見区

写真:松本さんが書いたリビングウィル 拡大松本さんが書いたリビングウィル

 できれば自宅で安らかな最期を迎えたいと願う人が多いものの、実際には在宅で亡くなる人の半数ほどが「異状死」として扱われていることが在宅医の調査でわかった。病死の可能性が高くても、事件性を疑い、警察が検視に入るケースも少なくない。専門家は普段からの備えが必要だと指摘する。

 一昨年春、がんを患っていた県内の80代独居男性が自宅で亡くなった。かかりつけの在宅医の往診を受け、死亡診断書も出た。だがケアマネジャーが自治体のケースワーカーに連絡すると、「警察を呼んで」と指示された。警察官に「普段から定期的に在宅医が診ていた」と説明し、引き揚げてもらうまで数時間の混乱があったという。

 昨年夏には横浜市鶴見区の済生会横浜市東部病院の救命救急センターに、重症肺炎の80代女性が搬送された。在宅医の紹介だった。気管を切開し、人工呼吸器をつけるといった治療が施され、女性は1カ月後に病院で亡くなった。

 だが女性は元々、延命治療はせず自宅で穏やかに死にたいと在宅医や家族に伝えていたという。家族は慌ただしい救急現場で短時間での判断を迫られ、「全力での治療」に同意した。センターの山崎元靖部長(45)は「本来、救命救急センターではない病院へ運ぶべき患者だった」と話す。

 医師法では、遺体に異状があった場合、医師に24時間以内の警察への届け出を義務づけている。事故や他殺、心疾患や脳疾患などによる急性死のほか、死因を特定できない場合も、異状死扱いになる。警察が事件性があるかどうかを調べ、遺体の検視をする。

 東京都立川市にある立川在宅ケアクリニックの荘司輝昭医師(50)が、訪問診療をする多摩地域で2012年に自宅で亡くなった1106人を分析したところ、56%にあたる615人が、異状死扱いだった。また異状死扱いの30%が、「老衰」「がん」「肺疾患」などの慢性疾患で、医師が定期的に診ていれば、「病死」として死亡診断書がもらえ、警察を呼ぶ必要はないケースだったという。横浜市や大阪府岸和田市の出水明医師(63)らの調査でも、異状死は自宅死亡者の約半数を占めた。

■「事前意思」書き示す試み

 全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長の太田秀樹医師(62)らによると、行政や医療・介護職にも、「自宅で死ぬと、警察を呼ばなければならない」「24時間以内に診察をしていないと、自宅で死亡診断書を発行できない」といった誤解がいまだにあるという。

 家族が呼吸停止や容体急変に驚き、救急車を呼んでしまうことも少なくない。また在宅医から「夜中なら救急車を呼んで」と指示されることもあるという。

 こうした「不本意な最期」にならないように、地域の複数の在宅医がみとりをカバーし合ったり、事前に意思を示すリビングウィルを市民に配布したりする取り組みも進んでいる。

 横浜市鶴見区医師会の訪問看護を受ける松本孝彦さん(80)は、リビングウィルに「終末期の心肺蘇生はしてほしくない」「最期は自宅か施設で迎えたい」などと記している。「こうして書くことで、妻や娘とじっくり話し合うことができ、望んだ最期を迎えられるようになる」

 太田医師は「患者や家族、医師や看護師、介護職員らが何度も話し合い、意思の統一をしておくことが大事だ。特に疎遠な家族が突然来て、『何で救急車を呼ばないんだ』と言い出すケースが少なくない」と話している。

(佐藤陽)

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