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08月16日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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企画特集 2【列島をあるく】

在留外国人の死に寄り添う

写真: 拡大

写真:イスラム教徒向けの霊園で土葬の墓に手を合わせる寺島隆次郎さん=茨城県常総市 拡大イスラム教徒向けの霊園で土葬の墓に手を合わせる寺島隆次郎さん=茨城県常総市

写真:外国人労働者向けに低料金のキリスト教葬儀を提供する「復活社」の塚田喜一さん=茨城県結城市 拡大外国人労働者向けに低料金のキリスト教葬儀を提供する「復活社」の塚田喜一さん=茨城県結城市

■祈る・悼む・想う

 ◆霊園・葬儀社、異なる宗教受容

 日本に住む外国人が亡くなったとき、葬儀や墓をどうするのか。宗教や文化の違いを受け止めつつ、その死に寄り添おうとする動きが広がっている。

 茨城県常総市の三福寺の境内に、高さ約2メートルのコンクリート塀に仕切られた一角がある。日本で暮らすイスラム教徒が、教えに従って土葬をするための霊園「朱雀(す・じゃく)の郷(さと)」だ。

 8月下旬、山形県で亡くなった80代のバングラデシュ人を埋葬するため、宗教法人日本イスラーム文化センター(東京都豊島区)のメンバーたちが集まった。白い布で包まれた遺体は、顔が聖地メッカの方角に向けられ、約2メートル地下に置かれた。木板を張った上に、素手で土がかぶせられた。「きれいに丁寧に土にかえしてあげたい」。教徒の一人は話した。

 霊園は2013年にできた。約1700平方メートルに440区画。プレハブの礼拝所も立つ。

 イスラム教徒向けの霊園は10年ごろまで、山梨県甲州市や北海道余市町など数カ所に限られていた。同センター事務局長のクレイシ・ハールーンさん(50)によると、ここ5年間ほどで常総市のほか、静岡市や和歌山県などにもできた。「国籍や墓の場所にこだわらず、亡くなったら早く埋葬する。そんなイスラムの考えが、日本でも理解されてきていると思いたい」

 「朱雀の郷」を管理するのは、近くで墓石会社を営む寺島隆次郎さん(79)だ。仏教の真言宗徒の寺島さんは、イスラム教徒との仕事の付き合いが以前からあった。墓地不足に悩む同センターの依頼で、11年ごろから霊園の候補地を探し歩き、三福寺にたどりついた。寺島さんは「双方との付き合いを大切にしただけですよ」と笑う。

■低料金 シンプルな葬儀

 法務省によると、日本で暮らす在留外国人は2014年末に約212万人。総人口に占める割合は1・67%で、08年と並んで過去60年間で最高となった。

 葬儀関連の業界も外国人向けの対応を進めている。

 キリスト教の葬儀を関東1都6県で請け負う「復活社」(茨城県結城市)は、外国人向けの葬儀セミナーを12年に始めた。出稼ぎのブラジル人労働者が地域に多く、教会などで月1回、ポルトガル語の同時通訳を交えながら安い料金でシンプルな葬儀をする。月数件の申し込みがあるという。

 同社取締役で牧師の塚田喜一さん(60)は「高齢化社会を迎える中、底辺の仕事を支えるのはきっと外国人労働者。彼らの葬式をきちんとフォローできる存在でありたい」と話す。

 外国人も対象に、遺体に防腐処置を施す「エンバーミング事業」を手掛けて10年になる「ジーエスアイ」(東京都中央区)の橋爪謙一郎社長(49)は、20年の東京五輪に目を向ける。「外国人観光客が万が一、日本で亡くなったとき、その国の風習に合わせたケアがきちんとできるか。日本全体で考える話です」

■国際結婚 日・米で分骨

 1980年以降、外国人の夫の在留資格や、子どもの日本国籍取得などを巡る法改正を訴えてきた「国際結婚を考える会」。現在約150人いる会員の多くは50代後半から60代。最近の話題の一つが「お墓」だという。

 国際結婚をして33年になる名古屋市中区の竹内詠美子さん(62)は10年ほど前、米オハイオ州出身で英会話講師の夫クリストファーさん(60)から、笑顔でこう告げられた。「2人の墓をオハイオに買ったよ。隣同士さ」。驚いた。

 名古屋が生まれ育ちの竹内さんはそれまで、知多半島にある先祖代々の墓に入ろうかと漠然と考えていた。一度も住んだことがない米国の公共墓地に自分が全部埋められるのは「絶対に嫌」。けれども、ずっと連れ添って最後に離れ離れになるのは夫が可哀想だと、「分骨」することを決めた。

 クリストファーさんは日本に永住するつもりだが、自らの遺体はオハイオ州に土葬してほしいと強く希望しているという。竹内さんは「夫のアイデンティティーはあくまでアメリカにある。日本に埋められるのが嫌だという気持ちはよく分かります」。

 同会員で埼玉県志木市の田代純子さん(65)は「弔い方も国や地域で色々であることを学び、会として発信していければ」と話す。

 (服部誠一)

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