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08月17日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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企画特集 2【列島をあるく】

おいしくなった水道水

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写真:東京都昭島市の諏訪神社境内からわき出る豊富な地下水。「東京の名湧水(ゆう・すい)57選」の一つ 拡大東京都昭島市の諏訪神社境内からわき出る豊富な地下水。「東京の名湧水(ゆう・すい)57選」の一つ

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■水ものがたり

 ◇高度処理や地下水 自治体PR

 蛇口から「飲める水」が出てくる国は世界でも珍しい。それでもコンビニの店頭には何種類ものミネラルウォーターが並び、国内消費量はこの20年で4倍以上に増えたという。危機感もあり、水道水のおいしさを知ってもらおうと、PRに力を入れる自治体もある。

 「東京水」をPRする東京都水道局。2015年度は「飲み比べキャンペーン」を117回実施し、5万2271人が参加した。ペットボトルに入った市販のミネラルウォーターより、「水道水の方がおいしい」と約39%が回答。「どちらもおいしい」と答えた17%を加えると、半数を超えたという。

 「勝った負けたが目的ではない。おいしくなった東京の水道水を知ってもらいたい。少しずつ浸透してきています」と金山智子・サービス推進課長は言う。

 1970年代には「水が臭い」などの苦情が相次いだ。河川が汚れ、当時の浄水技術では処理しきれなかったためだ。都が92年に導入を始めたのが、活性炭への吸着やオゾン分解でより多くの物質を取り除く「高度浄水処理」。20年以上かけて、利根川・荒川水系から取水する五つの浄水施設すべてに整備した。

 04年度には「安全でおいしい水プロジェクト」を立ち上げ、国より厳しい水質基準目標を掲げた。都内131カ所の自動水質計器で24時間態勢の監視も続ける。

 成果は数字にも表れた。15年度の各家庭への調査で、水質について約54%が「満足」と回答。03年度の約2倍になったという。

 都水道局の給水を受けていない自治体もある。昭島市は、20本の深井戸から地下水をくみ上げて使う「地下水100%」。年間を通じて水温は15〜17度で、水質もよく、処理は最低限の塩素殺菌だけだ。地層中のミネラルが溶解した地下水を原水とするミネラルウォーターとほとんど変わらない。濾過(ろ・か)の工程が不要のため、浄水施設を持っていない。「あきしまの水」のブランド化を目指している。

 神奈川県秦野市の「おいしい秦野の水〜丹沢の雫(しずく)」は昨年、環境省主催の「名水百選」選抜総選挙で、おいしさがすばらしい名水部門の1位に輝いた。水道水と同じ地下水を使い塩素は入っていない。08年にペットボトルで販売を始めた。PRや災害備蓄用だったが、受賞で売り上げが5倍に膨らみ、増産した。

 消費を伸ばすミネラルウォーターについて、自治体の水道関係者は口をそろえる。「一度ついた『水道水はまずい』『カルキくさい』という先入観を取り除くのは本当に大変。地道にPRしていくしかありません」

(佐藤善一)

 ◇蛇口から飲料水 世界的にも貴重

 水道水の変化について、水ジャーナリストの橋本淳司さん(50)に聞いた。

     ◇

 東京の水道についていえば、高度経済成長のころは取水源の利根川、荒川、多摩川が汚れていた。汚染がひどいときは塩素を大量に入れて殺菌し、それがまずさにつながっていた。

 今でも「東京の水なんて飲めたものじゃない」という人が多い。しかし、実際に地方の水などと飲み比べてみると、区別できない人が多い。今は高度浄水処理の工程が加わり、塩素量も少ない。

 それでも、水道水は飲まないという人は「習慣」が理由だと思う。ペットボトル入りの水の販売が広がったのは1990年ごろ。子どものころから慣れ親しんでいるのでしょう。

 蛇口から飲料水が出てくるのは、世界でも日本以外にアイスランドやフィンランドなど数えるほどだけ。多くの国から見たら、おいしい水が蛇口から出るのに、飲まない日本は不思議な国に見えると思う。

 平均すると、1人が1日に使う300リットルほどの水のうち、飲むのは約2リットルだけ。おいしい水でトイレを流したりしているんです。

 水は冷やすだけでも全然違う。塩素が気になる人はくんで一晩おけばいい。まずいといって水道水を飲まないのは、あまりにもったいない。ぜひ飲んでみてください。

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