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09月21日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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企画特集 2【つながるヨコハマ】

開港期の活気 着物で再現を

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■小此木歌蔵さん 横浜港大さん橋国際客船ターミナル共同事業体代表

 自分で着られない。着用のルールも知らない。さらに言えば高価で買えない。日本の民族衣装だというのに、着物は私にとって遠い存在だった。なのに、気が付けば「横浜を和服で活性化しよう」という企画の発起人に名を連ねていた。まったくのなりゆきである。第1回の集まりは横浜の老舗「勝烈庵」。着物を着てくること、と命じられ、大いにあわてた。和服文化の講座など聴講するのかな、くらいの意識でいたのだ。

 友人から着物を借り、着付けもしてもらい、なんとか出席。だが次回以降の着物はない。発起人は外してもらおうと決め、当日は慣れない着物で、企画発案者である小此木歌蔵さん(62)のスピーチを拝聴した。

     ◇

 株式会社「小此木」は明治の半ばごろに横浜で材木業を始め、その後、倉庫会社も設立した。4代目社長の小此木さんは、当然ながら横浜に対する造詣(ぞう・けい)が深く、思い入れも強い。2年前、横浜港大さん橋国際客船ターミナル共同事業体の責任者に就任した。

 「ところが私は、一度も船旅をしたことがなかった。港の構造は知り尽くしていても、船旅をする人が港に何を求めているのかを知らなかったのです」

 これではいけないと今年の1月、ドバイ、アブダビ、バーレーンなどを巡るペルシャ湾クルーズに参加した。

 「着いた時より出ていく時の方が胸に迫る。もう、その地に思い出ができているからです」

 流れる音楽、見送る人々のあでやかな民族衣装。またここへ来たいと思わずにはいられない工夫、努力が、どの港にもあった。帰国した小此木さんは、和服を着て大さん橋の見送りに立ってみた。すると外国人が次々に寄ってきて、一緒に写真を撮りたがるではないか。外国人の着物熱が高い、というニュースはよく見る。考えてみれば、日本に来たからには「日本」を求めるのがあたりまえだ。

 「それにね、せっかく美しい大さん橋があるのに港のにぎわいはいまひとつ。市民の財産はもっと開放、活用しないとね。横浜にはいろんなコミュニティーがあるでしょ。そのグループに大さん橋でそれぞれのパフォーマンスをやってもらい、日本の伝統文化、新しい文化をここから発信したい。幕末のペリー来航で誕生した横浜港は、日本の玄関口でした。近代国家日本はここから始まったのです。その誇りと先人の努力を忘れたくないですね」

     ◇

 レンタル着物、写真撮影はもう視野に入っている。見送り客が「しあわせの黄色いタオル」を振る光景はもはやお馴染(なじ)みになった。勝烈庵で開催された「着物の会」はSNSに写真がでるやいなや「参加したかった」という声が驚くほど集まった。そうなると「簡単な着付け」「お金をかけずに着物を楽しむ」「和の文化を知る」講座なども立ち上がるだろう。着物をひとつのきっかけとして、横浜は再びの開港期を迎えるのでは……と、私はいま、胸をときめかせている。

 (次回は9月に掲載予定です)

 横浜港大さん橋国際客船ターミナル ホームページはhttps://osanbashi.jp/

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