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今週のこの人【この人】

中島典雄さん

  なかしま・のりお 28年生まれ、熊本市在住。熊本師範学校卒業後、中学校の理科教諭に。89年に定年退職。熊本記念植物採集会には46年に入会、現在は副会長を務める。県自然保護団体等連絡協議会長。

  ――環境保護活動に貢献した個人と団体に贈られる今年度の「くまもと環境賞」を個人で受賞しました。

  うれしいです。私の活動の中心は熊本記念植物採集会によるものでした。会は1931年に設立された歴史ある団体です。

  ――会の普段の活動は。

  月に1回、山などに入って植物を採集し、標本にします。たくさんの人たちの目で県内の植物を詳しく調べていこう、というのが目的です。

  環境問題への関心の高まりから、一時は会員からも「採集はいかがなものか」という意見も出ました。しかし、植物の調査は採集が基本。誰が、いつ、どこでどんな植物を見つけたという記録とともに、証拠として標本を残しておくことが重要です。

  特に珍しい植物は採集しないようにしており、環境には配慮しています。

  ――どんな植物を採集するのですか。

  珍しい植物ばかりを集めるのではありません。その地域ではありふれた植物でも、他の地域では珍しいこともありますし、今はどこにでもある植物でも、将来は少なくなってしまう可能性もあります。

  ――どんな人たちが会員になっているのですか。

  会員数は280人ぐらい。学校の先生、会社員、薬剤師など様々です。年会費は4千円ですが、若い人にも参加してもらおうと、年会費3千円の学生割引制度もあります。

  ――熊本の自然環境はどう変わりましたか。

  熊本だけではありませんが、戦後の大規模な植林で山の姿がすっかり変わりました。まるで「スギ畑」と「ヒノキ畑」です。自然林には落葉樹も生えますが、スギやヒノキだけを植えると、そればかりが茂って林の中に日が当たらなくなり、ほかの植物が育ちにくくなります。

  商売用に山野草を大量に採っていくケースもあります。かつてエビネは熊本の山のあちこちにありましたが、今は減りました。

  ――桜のテングス病の撲滅にも尽力したと聞いています。

  テングス病はカビの一種によって起こるとされ、小枝が異常繁殖してほうき状になります。部分的に花が咲かなくなり、ほかの枝の栄養分を吸い取って樹木全体が弱ってしまいます。

  桜は日本人にとって特別な存在。花見で楽しませてもらうのだから、治してやらないと。

  ――テングス病にかかった木を見つけたら、どうすればいいのでしょうか。

  病気の部分を切ってやればいい。切り口には殺菌剤などを塗ります。会員から「テングス病の桜を見つけた」と情報があったら、持ち主や管理者に連絡して処置してもらうよう話します。

  60年代から取り組んでいますが、他県よりテングス病は少なくなったような気がします。車で県境を越えてみるとわかります。

  ――今後の活動目標は。

  採集会では69年に「熊本県植物誌」を発行しました。県内の植物図鑑のようなものです。ただ、発行から40年近くがたち、植物の分布や種類などもだいぶ変わっているはずです。資金や時間が必要ですが、できるだけ早く改訂版を出したいと思っています。

  学生時代の恩師が創立以来の会員だった、というのが中島さんが「熊本記念植物採集会」に入会したきっかけ。だが、若い頃は生物の勉強をし、寄生虫の研究をしたこともある。

  「戦後、教員として勤め始めたころはまだ生徒に寄生虫がいたんですよ。これは何とかせんといかんと思って」。20代の時期に半年間、熊本大学で研究生として寄生虫の研究をしたという。

  「『人間と自然の共存』という点においては、寄生虫の研究も植物の研究も似たところがある」と話す。

  会の集まりで採集に出かけるときは原則、公共交通機関を使う。だが、最近は過疎化が進み、バス路線が廃止されるところも増えている。さらに、合併で地名が変わり、昔の標本を見てどこで採取したのかはっきりしないこともあるという。社会の変化の影響は植物採集にもじわりと及んでいた。

  変化と言えば、一番気がかりなのが会員の高齢化。若い人の参加を心待ちにしている中島さんたちは、今月も採集に出かけるという。(沼田千賀子)

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