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10月17日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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今週のこの人【この人】

大塚芳生さん

  ロボコンといえば、新聞やテレビでもよく目にする大学や高専の大会が有名だ。競技だけを見れば、中学校のロボコンも同じように見える。しかし、中学ロボコンでは、技術の追求や高度化よりも、ロボット作りを通した心の教育や成長といった点が重視される。そのことが、大塚先生の言葉からも伝わってきた。

  とはいえ、生徒たちにしてみれば、参加する以上は良い成績を取りたいと思うのが人情だろう。それ自体は決して悪いことではないと思う。それぞれのアイデアと工夫を堂々と競い合えばいい。

  その点については、よく考えられていると思った。ルールを毎年変更することで、子供たちは以前からあるモデルの追求ではなく、新しいアイデアや工夫を考えるようになる。アイデアやパフォーマンスなど、競技の勝敗以外の面を評価する仕組みもある。

  97年度に参加24チームで始まった県大会は、最近では120を超すチームが参加するまでになったという。今年度の県大会は11月12日、熊本市内で開かれる。大会まであと1カ月余り。参加する生徒たちには最後まで全力を尽くしてほしい。
(島田 耕作)

  ――「全国中学生創造アイデアロボットコンテスト」(ロボコン)はどんな大会なのか。

  競技ルールやロボットの規制によって複数の部門があるが、生徒たちがアイデアを出し合って作ったオリジナルのロボットで得点を競う。ルールは毎年のように変更されるが、壁に刺さった円柱を引き抜いて所定の位置に立てたり、CDを張り合わせた円盤を移動させたりする競技がある。

  ――ロボコンに取り組み始めたきっかけは。

  14年前、選択科目の技術科の授業の教材として取り入れた。最初に学会で発表したときは「どこに教育的価値があるのか」と散々な評価だった。しかし、徐々に広がり全国大会が開かれるようになり、いまでは逆に論文を依頼されるまでになった。

  ――全国大会が始まったのも、九州での取り組みがきっかけと聞く。

  ロボコンの県大会を開いていたが、数年前に熊本と福岡両県で共通ルールをつくって九州大会をやってみよう、という話を始めた。すると、全国各地で別々にロボコンに取り組んでいた先生たちから、全国大会を開けないかということになった。全国大会は今年度で6回目になる。

  ――昨年度の大会では御船中学校が優勝した。

  ロボコンは、いまも技術科の授業の一環として取り組んでいる。生徒たちが真剣に取り組んで、良い結果が出たことは本当にうれしい。しかし、ロボコンでは、勝敗が絶対ではない。生徒たちに、協力してモノを作っていく素晴らしさを体験させ、独自の発想とそれを形にしていく大切さを教えることが重要だ。

  ――そのために工夫していることは。

  子供たちは論理を積み上げて考えることは上手だが、あるアイデアがうまくいかないときは、論理の積み上げだけでは行き詰まってしまう。「これがダメなら、こうしてみよう」「あのアイデアはどうか」と「水平的思考」をすることが大切。その考え方を教えるようにしている。今年度の授業では、生徒が自分のアイデアを申請する「特許制度」を取り入れた。ほかの生徒もその特許を採用し、改良してロボットづくりを進めている。

  ――ロボコンの教育的効果を評価する声もある。

  製作過程で友達と議論し、工夫することを通じてコミュニケーション能力や自主性を身につけ、ほかの科目も含めた学習意欲が出てきた例がたくさんある。日ごろおとなしくて目立たなかったが、友人や保護者に励まされたり、好成績を上げたりするうちに自信をつけていった生徒もいる。

  ――子供たちや周囲の反応は。

  特別枠で出場した昨年度の全国大会(1月開催)は、受験間近で出場すべきか迷ったが、保護者に「うちの子はロボコンで視野が広がった。第1志望校に合格しなくてもいいから参加させたい」と言われ、うれしかった。生徒たちの感想文にも「人と協力することを学んだ」「自分なりの工夫が大切」「ロボコンは勝ち負けではない」との言葉があり、こちらの意図を分かってくれていると思う。指導者としては、生徒が勝てばうれしいが、勝敗だけにこだわらずに取り組むことが大切だと改めて思った。

  おおつか・よしお 嘉島町出身。佐賀県の中学校に4年間勤務した後、県内の中学校で技術科の教諭。全日本技術・家庭科研究会の本部役員(渉外担当)を務めている。学校心理士、上級教育カウンセラーの資格も持つ。

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