メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

09月23日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

今週のこの人【この人】

鎌倉孝幸さん(県川辺川ダム担当理事)

 県川辺川ダム担当理事(57歳)

 ――ダム問題が長期化した背景は

 一つはダム建設によって五木・相良の約500戸の生活基盤の移転が必要だったこと。行政は大変なエネルギーと時間を費やしてきた。その中で、公共事業に対する議論が百出してきた。また、川辺川ダムが環境に負荷を与えないかという心配。それらが相まって、こういう議論になったんだろう。

 ――ダムを巡る国交省と農水省、県の関係は

 国交省は、洪水防止のためにダムが必要で建設する。農水省は、ダムを活用して農民のための利水をやろうとしている。平たく言えば、国交省と農水省の関係は、やろうとする目的は別だけど、手段を一つのダムに求めたということですね。

 県は「県民の生活を預かる」ということで、基本的にはこれまでダムによる治水、利水を進めてきた。治水も利水も国営事業で、いわば最終判断の法的責任は県に無いんです。でも、県内で行われる事業だし、県民も国民ですから、(住民討論集会で)県民の意見を国につなぐ役割を果たすのが責務だと思ってます。

 ――昨年5月の川辺川利水訴訟で国が敗訴した影響は

 利水訴訟だけじゃないんです、国交省が川辺川ダムを巡る漁業補償で、01年春に球磨川漁協(総代会)から3分の2以上の賛成を得られなかった。ここからが始まり。そして農水省は川辺川利水事業で、福岡高裁で敗訴。国交省と農水省、国側からすれば、二つの法的なつまずきがあった。

 利水事業は、最後は3分の2以上の対象農家からハンコもらわないと成立しない。その困難さが、利水訴訟の敗訴で行政側に突きつけられたんですよ。

 ――新利水事業のアンケートで「ダムを水源に」との回答は約22%だっ

 ダムだろうとダム以外だろうと、農家の本当の気持ちは、早く水が来て欲しいのだと思うんです。「ダムを水源に」が回答の4分の1しかないから新利水事業がもう不可能、と直結はしない。それに、あの結果は途中経過。未記入や無提出が4割いるんですね。これも丁寧に話し合いを重ねて意向を把握しなければならない。

 ――住民討論集会の意義は

 討論集会で県民に示したいのは、こういう大きな社会問題化してしまった事業については、単に反対とか賛成とか、人気投票的に決めるのはよくないんですよ。県民に考える材料を与えるのが一番大事。県内で行われるこの事業が必要、もしくは必要でないとしたら、それはなぜなのか。それを考えてもらうのが、民主主義を定着させるきっかけなんですよ。

 最近は討論集会も冷静になったでしょう。あとは考える中身ば掘り下げればいい。森林の保水力とか。日本の(国土の)7割は山林。地形的に似通ったところが多いわけだから、保水力の検証を学者同士でやってみる価値はあるんじゃないか。国民に向けても、新しい検証です。治水政策はどうあるべきか、も見えてくるかもしれない。

 ――県が何らかの意見を出すのはいつか

 意見集約するのは、利水計画の行方が見定まるとき、それと森林の保水能力について科学的知見が得られるとき、それと収用委員会が結論を出した時点。これらを見比べながら、県としての意見を示すことになるんでしょう。いつとは断言できません。

 ○住民討論集会に不可欠の調整役

 「警備員、つまみだせ――」

 ヤジる聴衆を、集会中に一喝したことがある。川辺川ダム計画について、国交省とダム反対派が話し合う住民討論集会。今でこそ会場は冷静な雰囲気だが、始まった01年当初は、聴衆から激しいヤジが飛びかうこともあった。

 鎌倉さんは毅然(きぜん)とした態度を取り続けた。国交省、時には知事の発言すら遮り、話し合いをまとめるその力量。「鶴の一声」。記者の間で、そう評されることも。「強引」と言われることもあるが、この人がいなければ、この集会は3年目を迎えられたか、どうか。

 国と反対派が共同で森林の保水機能の検証をすることを決めるなど、集会の役割は、賛否双方から一定の評価を受けつつある。新利水計画の行方など、今年も重大局面を迎えるダム計画。調整役としての手腕から、ますます目が離せなくなる。
 (小堀龍之)

   *

 かまくら・たかゆき 阿蘇町の出身。10人兄弟の6男坊として育った。「(年上の兄弟から)たたかれ慣れとるせいか、たたかれると闘志がわくタイプ」。71年に入庁し、90年から水俣振興推進室長。地域政策総室長を経て、企画振興部理事に。川辺川ダム問題を担当して4年。住民討論集会の調整役を務める。

PR情報

ここから広告です

PR注目情報

熊本総局から

「熊本アサヒ・コム」へようこそ! 熊本版に掲載されたトップ記事や話題ものを毎日更新しています。身の回りのニュースや情報、記事の感想を、メールでお寄せください。
メールはこちらから

朝日新聞 熊本総局 公式ツイッター

注目コンテンツ

  • 写真

    【&w】カカドゥの不思議な野鳥たち

    ノーザンテリトリー〈PR〉

  • 写真

    【&TRAVEL】遊び心満載の豪華客船

    船上でサーフィン?〈PR〉

  • 写真

    【&M】TEPPEI×ハマ・オカモト

    自分に合った服装とは?

  • 写真

    【&w】劇場鑑賞券を3組6名様に

    「&w」読者プレゼント

  • 写真

    好書好日旅するように異国料理を作る

    宮崎あおいさん初の料理本

  • 写真

    WEBRONZAカーシェア急拡大

    今日の編集長おすすめ記事

  • 写真

    アエラスタイルマガジンこれぞ手軽な手土産の大本命

    手土産に縁起のよい「虎家喜」

  • 写真

    T JAPAN未来を変えるコスメ 第2回

    全米で話題の「CBDオイル」

  • 写真

    GLOBE+注目は年齢差だけではない

    マクロン大統領夫人の実像

  • 写真

    sippo絶滅の危機に瀕するトラ

    生態は猫とほぼ同じ

  • 働き方・就活

  • 転職情報 朝日求人ウェブ