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今週のこの人【この人】

北辻安次さん(八代工業高等専門学校教授)

  八代工業高等専門学校教授(57歳)

  ――八代地域の小学校から高校までの児童、生徒たちに、実験機材の提供を含む「出前授業」などで理科教育を支援されています。きっかけは?

  92年から学校週5日制が実施された。土曜日曜を利用して、家庭や地域社会で子どもたちが自然、文化、スポーツなど様々な体験をするために設けたものです。東京など都会の子どもたちは、国立科学博物館などでいろんなものを見る機会がある。でも、地方の子どもには、そういう場もなく、難しい。代わるものが、八代高専でもできないだろうか。子どもたちが高専に来て、いろんな実験や工作ができれば楽しいだろうな、と思った。そこで子ども向けの講座を企画した。

  ――対象や内容は?

  当時、私の子どもが小学生で、夏休みに国立科学博物館の講座に参加してみた。「振動の科学」(6日間講座)や、「昆虫採集」(1週間)などだった。15人の定員に10倍以上の人が申し込む人気。私が見学した講座では、子どもたちが粘土で「オカリナつくり」などをして、結構喜んでやっていた。それで次の年に、小中学生向けに、自分のできる範囲で、簡単な実験を見せる内容を考えた。参加者がなかったらどうするかと心配する声もあった。最初(93年)は定員20人で、学校開放事業「わいわい工作、わくわく実験ひろば」を募集したら、定員を超えてほっとしましたよ。

  ――子どもたちの反応はどうでしたか

  毎月第2土曜日に30人くらいで始めた。希望が多かったのは、八代には、こういうチャンスが少なく、子どもたちのニーズがあったからだと思う。最初の年は計7回。「振動の科学」「光の科学」「運動の科学」など、毎回違う実験・工作に挑んだ。講座の最後に、子どもたちによる発表会を開くと、いろんな受け止め方、発想が出てきて、なかなかよかった。

  ――出前授業といった、小中学校の教師との連携が深まったのはいつからですか

  98年に佐藤泰生校長が、教育関係者へのスクラムづくりを呼びかけてくれた。教師一人が授業の中でやる実験には、教材不足、自ら作る時間、工具がないなど限度がある。高専だと機械や工具は、ほとんどそろっている。先生たちの要望に応じて実験道具をそろえることができる。年に1回でも2回でも、われわれが、出前授業などで実験道具を持ち込み、サポートをする。校長がそう言って教育委員会と交渉をしてくれた。それが、99年春に事業をスタートした「理科教育支援システム」。小学生から高校生までの理科実験支援組織づくりができた。

  ――講座を通じて、子どもたちに希望することや、課題は何ですか

  実験や工作を通して、理科が好きになってくれればいいと思う。科学への夢を持つことで、高専などへの入学希望者が増え、将来のエンジニアが誕生することにつながれば、なおうれしい。また、小中高校の先生と、実験や教育の手法についての打ち合わせ、相談の時間がもっと多くとれれば、よりいい、楽しい授業へと発展すると思う。

  ○「感動生む教育」先駆的な好見本

  子どものころ、遊び道具は自分たちで作っていた。いま50〜60歳代の人なら、少年雑誌で紹介される実験ものに一つや二つは取り組んだ記憶があるはずで、私もそうだった。北辻さんも、コイルを巻いてモーターを作るなどミニミニ工作・実験に、のめり込んだ時期があった。小学生のころ小遣いをはたいて買った科学誌が、今も手元にあり、講座充実にも役立てているそうだ。

  理科部会の先生たちとの研修会で、ホーバークラフトを、掃除機のモーター、チューブ付きタイヤ、板を材料に作ったら、先生の目も、子どもたちと同じように輝いたという。実験や工作が完成した瞬間、大きな感激、感動が生まれる。そういう機会を、小学校や大学、一般の枠を超えて増やしたら、子どもたちの世界はもっと広がると思う。出前授業を取材して、どんどん未来の夢を膨らませる子どもたちの表情を見た。

(花房篤司)

  きたつじ・やすつぐ 46年生まれ。大阪府羽曳野市出身。灘高校、大阪大基礎工学部卒。75年4月、八代工業高等専門学校に入り物理、生物を担当。98年8月、理科教育支援システム(小中高高専大学連携科学技術教育支援機構)の体制を整えた。現在、実験教育・教材開発、地域社会交流、技術開発の3部門などで組織する「八代高専地域連携センター」代表。同センターは今年2月、03年度の九州工学教育協会賞を受賞した。

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