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10月17日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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今週のこの人【この人】

須藤靖明さん(京都大学大学院助教授)

  −−阿蘇火山研究を始めたいきさつを

  京都大に入り、興味のないものや苦手なものを除いてゆくと、地球物理学の地震分野が残った。在学中の65年に阿蘇山が激しく噴火したので、噴火前後の火山性微動を卒論のテーマに選んだ。観測データが蓄積された京大の火山研究施設(現・火山研究センター)で論文を書いた。「噴火の際はマグマに減圧が生じる」というメカニズムを発見し、海外の一部からも注目された。

  −−阿蘇で「一所懸命」に研究を続けて40年近くになります

  なにせあっち側(阿蘇山)の一生はとてつもなく長いから、数年じゃ終わらない。調べているうちに別のテーマが出て来て、のめり込んでしまった。普段から微動があったり、二酸化硫黄ガスを放出したりする特異性も興味深い。

  −−研究施設に住んでいたそうですね

  学部生のときから院生、助手の時代まで7年の間、毎日寝泊まりしていた。今は若い研究者でも車で通っているから、昔の僕みたいな人はいない。

  −−一番の研究成果は

  阿蘇のマグマだまりの位置を特定したこと。世界でも例が無いと思う。阿蘇カルデラ内で起こった地震の波動を、カルデラ周辺の計測機で調べた。マグマだまりを通ってきた波は一目瞭然(いち・もく・りょう・ぜん)だ。10年にわたって地震千回分のデータを取り、50万個の方程式を解いた。杵島岳から草千里にかけて、地下6キロのところに直径4、5キロのマグマだまりがあることが89年にわかった。

  −−印象的だったことは

  79年に見たストロンボリ噴火(赤く熱せられた岩石を噴出する噴火)。火口そばで待機していたら、突然強く噴火して、頭の上を真っ赤な石が越えていった。逃げ込んだ退避所には火山灰が入ってきた。危険はあったが、あの光景は忘れられない。

  −−今の阿蘇の状態は

  3年前から火山性微動が不規則で、いつ噴火してもおかしくない。

  −−定年まであと3年。研究生活の着地点は

  今調べている久住から阿蘇一帯の地下構造なんて、残り数年ではけりがつかない。逆に言えば、いつ終えてもいい。退職後は、小学生に火山の面白さを伝えたい。小学校の先生に理科の醍醐味(だい・ご・み)を教える手伝いもしたい。

  −−今後の阿蘇研究に期待することは

  現場での連続した観測を絶対にやらなければいけない。気象台に任せればいいという意見もあるが、違う。研究者が現場を自分の目で見て、機器が示すデータと比較することが必要だ。阿蘇がきちんとわかれば、世界、宇宙にあるすべての火山に通じる成果に発展する。ローカルを極めればグローバルに通じるんだ。

  「知りたいことはどうしたって知りたいもんな。それは抑えられないよ」。興味のあることを話すときは、目が一段と輝く。長年の研究は、好奇心という「バネ」が支えたのだろう。

  須藤さんの興味は人間にも向かう。個人的なことまで根ほり葉ほり尋ねて、後で反省することも。「火山研究は人間に応用できない。その点で、やる学問を間違えたかなと後悔してんだ」

  今月、「蘆花(ろ・か)・漱石・白秋と阿蘇火山」(櫂歌(とう・か)書房)を出版する。小説や紀行文を資料に、平安時代からの阿蘇火山の噴火サイクルを調べた。趣味の読書を生かしつつ、あくまで「本筋」は外さない。須藤さんらしい著書だ。(奥村 智司)

  すどう・やすあき  東京都出身。京都大から同大大学院理学研究科に進み、長陽村にある同大付属の「火山研究施設(現・火山研究センター)」で研究活動に入る。69年、施設の助手に欠員ができたため、博士課程を中退して助手に。93年、助教授。現在、京大と熊大で火山物理学などを教える。熊本市在住。2男2女はすべて文系。

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