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今週のこの人【この人】

中尾利秋さん(熊本海苔につどう会長)

   −−「熊本海苔(の・り)につどう会」の活動は

  有明海、不知火海の再生とノリ養殖を通して産業の再生をめざす漁民が集まって、6年前に結成した。合併浄化槽の先進地の視察をしたり、太田扶桑男(ふ・さ・お)先生(元熊本県のり研究所養殖研究部長)をお招きして、有明海の環境汚染や漁業振興などの勉強会を開いている。現在の会員は約180人。

  −−先月、佐賀地裁が国営諌早湾干拓事業の工事差し止めを命じる仮処分の決定をしたが

  画期的な判断で、原告の1人としてこんなうれしいことはない。自分たちが活動してきたことが裁判長に認められた結果だと思う。しかし、諌早湾の工事は90%以上完成している。いかにして撤回し、門を開けさせるか。戦いはこれからだと気分を引き締めている。

  −−これからの運動の進め方は

  県と漁連に働きかけて運動の輪を広げていかねばならない。来月は海上からの抗議行動も予定されており、県内から500隻ぐらいは参加するのではないか。

  −−ノリ養殖の現状は

  有明海は質のいいノリが採れ、漁民も潤っていたが、6、7年前ごろから色落ちや赤潮などの被害が出始め、おかしくなった。最盛期(昭和40年ごろ)には、横島だけで約750人のノリ漁民がいたが、今ではノリ専業は2人だけに減った。

  −−漁民の生活は

  ノリをやめた人は出稼ぎやイチゴ栽培などで生計を立てている。有明海沿岸の4県でも、かなりの自殺者や行方不明者が出ていると聞いている。漁民は親戚や親友やらでお互いに保証しあっているので、1人が倒れたら連鎖する。「ノリがだめになった」からと、自分だけ逃げ出すわけにいかない。自殺したくても出来ないのが現状ではないか。

  −−海に異変を感じたのは

  私は50年近く海を見ているが、諌早湾の干拓工事で「ギロチン」という鋼板で湾奥部を閉め切った97年の翌年ごろから、海水が濁り石灰などの浮遊物が出始めた。船だまりの岩にびっしりついていたカキやフジツボも死滅している。

  −−元の海を取り戻すには

  諌早湾の開門しかない。開けて潮の流れを元に戻すこと。そうすれば昔のきれいな有明海が再生する。自然の力に勝るものはない。私たちには、きれいな有明海を再生して、子や孫に引き継ぐ義務がある。

  −−ノリ製造・販売大手の浦島海苔(玉名市)が民事再生法の適用を申請したが

  経営のまずさもあったかもしれないが、質のいいノリが採れなくなったことや原料高など、諌早湾の干拓工事と無縁ではないと思う。漁民が元気を出すためにも、何とか立ち直ってくれることを願っている。

  「有明海を再生させ、きれいな海を子や孫に引き継ぎたい」。この一念が原告団の1人として諌早湾干拓工事をめぐる「よみがえれ!有明海訴訟」への参加となった。

  02年8月にはノリの種付け準備のさなか、長崎県森山町の前面堤防工事現場まで車で駆けつけ、「人間の鎖」に加わるなど、工事の中止を求める抗議行動をした。

  明治維新をやりとげた西郷隆盛を崇拝。「諌早湾干拓工事をめぐる訴訟は国を相手のけんか。西郷は国に負けたが、わしらは負けるわけにいかん」と会員を励ます。

  毎年12月初めには、摘み取ったばかりの1番ノリを焼きノリに加工、町内の学校給食に寄贈している。今年で27年目を迎える。

  男の子には恵まれなかったが、婿養子の孝春さん(35)が跡を継ぐ。「孫3人も女の子。また養子をとらんば」と笑う。

  60余年海を見続けてきた。長年の経験に裏打ちされた自信とたくましさが感じられる。

      (有馬護宏)

   なかお・としあき 横島町生まれ。地元中学を卒業して16歳で家業のノリ養殖に従事。県内のノリ漁民で組織する「熊本海苔(の・り)につどう会」の初代会長。災害時に海上から救助活動をする、赤十字海上輸送奉仕団副委員長も務める。

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